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家庭のごみの行方

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「Co2見える化 井戸端会議室」では、早稲田環境研究所の研究員が身近な環境問題やCO2削減について、ご説明します。今回は「家庭のごみの行方」担当は"takafumi"です。

 第一回「家庭が大事」

 

皆さん、家庭から排出されるごみがどのように処理されているかご存知ですか?

家庭で分別されたごみは、自治体によって収集され、焼却処理施設や再資源化施設に運ばれます。焼却されたごみは埋立地(焼却された後に更にリサイクルする場合もあります。)に、再資源化されたものはリサイクルされてまたもう一度社会に戻ってきます。

このような「廃棄物処理・リサイクルシステムの構築」は循環型社会の形成に向けて重要性が増しています。

 

では、このシステムにおける家庭の役割とは???

第一にすべきことは、「ごみの量を減らす」=「Reduce」です。ニュースなどで多く聞かれるのは「Recycle」ですが、最も大事なことは、「Reduce」です。なぜなら、リサイクルする際にもエネルギーは必要で、環境には負荷をかけています。

 

けれどもどうしてもごみはゼロにはできません。そこで何ができるの?

当たり前のことかもしれませんが「決められた分別方法を守る」ことです。家庭はシステムの第一段階に当たります。ここがしっかりと機能しないと、後の段階でリサイクルができないといった問題が生じてしまいます。

 

ぜひもう一度、必要ないごみを出さない、分別をきちっとするということを徹底してみてください。

 

 

第二回「ごみ処理施設に行ってみて!」

 

 今回は、ごみの焼却について着目してみたいと思います。

 

 皆さんは焼却処理施設と聞いて、どんなイメージをするでしょうか?  おそらく、「汚い」、「大気汚染が起きる」などマイナスのイメージをする方が多いと思います。私も大学で研究する以前は、同じようなイメージを抱いていました。しかし、研究を進めていくうちにマイナスのイメージは消えていきました。

 

 焼却処理施設はごみを燃やしているだけではありません。ごみを燃やすことで生じる熱を利用して、発電をしたり、高温の蒸気を用いて温水を作ったりもしています。発電した電気は施設で使われ、余った分は電力会社  に売られています。                 

 

 また、焼却処理の方法として溶融処理中嶋家庭ゴミ2.jpg中嶋家庭ゴミ1.jpg

いったものがあります。ごみは高温でドロドロに溶かされた後、冷却され「溶融スラグ」となります。

この溶融スラグは、コンクリートの材料やブロックとして利用されています。 

 

 

 ぜひ一度近くの焼却処理施設を見学してみてください。中を見ると新たなイメージが生まれると思います。

 

    写真は東京23区清掃一部事務組合HPより(左:溶融スラグ 右:ブロック)

 

第三回「環境問題ってCO2だけ?」

 

 今回は最終処分地について考えていきたいと思います。ここは私たちが豊かな生活をすることによって排出されるごみが行き着く最後の場所です。

 

 まず、最終処分地の現状についてみていきましょう。下のグラフは最終処分地の残余年年数と残余容量を表しています。残余年数を見ると近年増加していることが分かります。

 残余年数とは、何年最終処分地が使えるかを意味しています。増加している理由としては、リサイクルが進んだことなどが挙げられます。一方で、残余容量を見ると減少しています。これは、新たな最終処分地の建設が難しく、既存の最終処分地に埋め立てをし続けている結果といえます。

 

 これらから何が言えるのでしょうか?

「ごみの最終処分量を減らす必要がある」ということではないでしょうか。「残余年数が増加しているのだからそんな必要はない」と思うかもしれませんが、残余容量が減っているため、いつか最終処分地は一杯になってしまいます。

 

 CO2の削減だけではなく、最終処分地の問題も考えてみてはどうでしょうか・・・ 

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出典:環境省H18年度一般廃棄物の排出及び処理状況等について

 

2008/10/21

早稲田環境研究所 研究員 "takafumi"

 

 

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みなさんペットボトルのリサイクルというものを知っていると思います。 リサイクルって環境に優しいですもんね・・・

本当ですか?

リサイクルするためにもたくさんのエネルギーが使われています。だったらそのまま埋め立てちゃったほうが環境に優しいんじゃない?

そんなこと考えたことなかった人も、そう言われると自信と根拠を持ってリサイクル!と言えないんじゃないでしょうか。リサイクルする時に発生する環境負荷と埋め立てることによる環境負荷ってどっちが大きいんだろ・・・

今回は、そんな疑問にヒントを与えてくれるELP(Environmental Load Point)という環境負荷を表す単位について、三回にわたって勉強したいと思います。

ELPを簡単にいうと、
環境に悪影響を及ぼす色々な要因を一つの定規で測るための単位で、二酸化炭素100kgとフロンガス1kgってどっちが環境に悪いの?っといった疑問を解決する万能な単位です。

ちょっとELPを知ってもらったところで、環境負荷のモノサシ、ELP (Environmental Load Point)について、具体的に見ていきましょう。そもそも"環境負荷"ってどんなものがあるのか。例えば、今話題の二酸化炭素も環境負荷の1つで、 それは○○kgと表されます。

しかし、二酸化炭素を削減することが、本当に環境負荷を下げることにつながるのでしょうか。家庭ゴミを燃やさなければ二酸化炭素はでませんが、埋め立てゴミは増えてしまいます。このように、二酸化炭素のみで評価すると、ゴミを埋め立てたほうが環境負荷を下げることになります。

この考えには無理がありますよね?

一方、ELPという単位は、温暖化につながる二酸化炭素という要素だけではなく、下のような9つの項目をひとまとまりに評価することができます。

  • エネルギー枯渇
  • 地球温暖化
  • オゾン層破壊
  • 酸性雨
  • 資源の消費
  • 大気汚染
  • 海洋・水質汚染
  • 廃棄物処理問題
  • 生態系への影響

環境負荷と一言に言ってもこれだけの要素があって、この9つの中にもさらに細かい要素が含まれているわけです。
その中で一つの定規で環境負荷を評価するためには、それぞれの要素の重要性がわからなくてはなりません。
ELPでは、上にある9つの重要性を様々な分野の専門家等によるアンケートにより決定しています。その結果は下の図のようになります。

080909_1.jpg
 

それぞれの重要性がわかったら、あとは要素をELPにあてはめていくだけで、 普通は比べられないものを比較することができるのです。 具体的にペットボトルの一生(製造から廃棄まで)をELPの視点で見ていきましょう。

080909_2.jpg

この図は、ペットボトルの製造と廃棄での環境負荷を表しています。

一番左のグラフが製造段階までの環境負荷を表し、
真中が埋め立てをした場合を製造から含めたもの、
右のグラフがリサイクル(マテリアルリサイクル100%)をした場合の
製造から含めた環境負荷を示しています。

右側には、ペットボトルのサイクルで発生する様々な環境負荷の要素が挙げられています。
ちなみに、これを先ほど挙げた9つの項目に当てはめてみると・・・
CxHy(炭化水素)、SOx、NOx、→ 大気汚染 CO2 → 地球温暖化 原油 → エネルギー枯渇 廃棄物 → 廃棄物処理問題 BOD・COD → 海洋・水質汚染 という感じになります。

これは、排出される量がそのまま加算されているのではなく、ELPに換算された値が含まれています。 ELPに換算することで、このような物質を量としてではなく、"環境負荷"として同じ目線で比較しているのです。この図から、一目でリサイクルのほうが環境負荷は少ないことがわかりますが、 ELPではその具体的な内容まで判断することができます。

まず、埋め立てでは製造段階でのELPが削減されている要素はなく、逆に「廃棄物」としてのELPが増加しています。 それとは反対に、リサイクルでは製造段階でのELPより減少しています。 これは、リサイクルすることにより、 材料としての原油のELPが回復されたことが大きく影響していることがわかります。

実際、図からは原油の項目がほとんど見えなくなっていることがわかると思います。ELPでは、環境負荷が高いか低いかを判断するだけではなく、具体的に環境負荷の中身を分析することで、どのような行程や材料での環境負荷を低下させることが必要か、処理ではどのような方策を選べばよいか、 等を判断するための手助けにもなってくれるのです。

ELPについて長々と説明してきましたが、 理解しえていただけたでしょうか・・・ 今後、環境負荷についてこんな見方がある ということだけでも覚えておいていただけたらと思います。

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