地球環境の最近のブログ記事
地球温暖化によって地球が温まると、海水が熱膨張したり、極地の氷が融けて海面が上がります。さまざまな見積もりがされていますが、50センチ程度、上昇するのではないかといわれています。
例えば太平洋に浮かぶツバルという島はサンゴ礁からなる海抜の低い国であるため、海面が上昇すれば深刻な影響を受けることが懸念されています。また、さらに地球が温まると南極大陸の氷が融けるかもしれません。しかし、海面の上昇は短くて数十年、長ければ数百年かけてじわじわ進むはずなので、私たち人間が手を打つ時間はたっぷりあります。
最近、いろいろな会議に出席しているなかで、毎回のように同じことを言っています。それが「環境問題≠CO2(地球温暖化)」という認識を持ちすぎると世の中をミスリードする、ということです。環境問題といってもいろいろあります。地球温暖化、廃棄物問題、大気汚染、水質汚濁、生物多様性、等挙げたらきりがありません。私はよく言いますが、「環境問題の専門家」というのはこの世に存在しません。それぞれ、得意分野があるもので、全体を語れる人はいないと思います。また、人々の意識や価値観は時代や地域によって異なるものです。そのなかで、昨今の情勢をみてみると、地球温暖化への関心が高まっているのは事実です。だからといって、その他の環境問題を無視してよいわけではありません。なぜなら、偏った見方をしていると、重要な問題を見落としてしまう可能性があるからです。もう少し具体的にいうと、CO2の問題だけを優先的に議論していると、他の環境問題に悪影響を与える可能性がある、ということです。こうした相反する事象を「トレード・オフ」の関係にある、といいます。
前回の続きで、CO2の数値の見方に関するちょっとしたアドバイスです。「みなし効果」という言葉はあまり耳にすることはありませんが、知っておくとCO2の数値を見る目が変わってくると思います。
乗り物で考えてみましょう。例えば、マイカー通勤を抑制するとします。そうすると、その分だけガソリンの使用量は減りますよね。その分だけ、CO2削減につながります。一方、「鉄道は飛行機に比べて、●●%CO2削減!」という広告があったとします。これは、計算上は、間違ってはいません。例えば、1人、1kmあたりのCO2排出量を計算すると、鉄道の方が小さくなりますので、その差をとって表示すればよいわけです。しかし、問題は、「一人の人が東京から大阪へ行くのに、飛行機ではなく鉄道で行くことにしたから、CO2が削減されるか否か?」という点です。これは、鉄道と飛行機の便数が変わらなければ「NO」です。こうした場合のCO2削減効果を「みなし効果」と呼ぶことがあります。
黙されているのではないかと思う方もいると思います。確かに、この「みなし効果」だけが一人歩きをして、実際は減っていないのにあたかもCO2が削減したかのような言い方をするのはよくないことです。しかし、みなし効果には意味があります。上記の例でいくと、鉄道の環境配慮をPRすることによって、社会全体で鉄道の利用者が増加して、飛行機の利用者が減少したとします。それによって、東京-大阪間の飛行機の便数が減ったとします。そうなったときにはじめて、上記の「CO2削減」が達成されるわけです。つまり、「みなし効果」は、消費者の意識や社会システムの変革が実際に起こったときに、どうなるかを計算している値とみることもできます。
問題なのは、こうした数値を算出し、消費者向けに情報開示している方々がそれを理解しているかどうかです。また、乗り物は、単にCO2だけでなく、その利便性も含めて評価すべきものであることも言っておきたいと思います。
前回と今回で申し上げたいのは、「数値に惑わされないこと。」です。
ハイチ、チリでの大地震は、最も記憶に新しい地震です。ハイチでは、およそ23万人の犠牲者が出たといわれています。今も、多くの国から支援を受け復旧活動を行っています。
ところで、地震と地球温暖化と直接的な因果関係はなさそうな気もしますが、大地震が起きた後の対処の仕方により、その地域の荒廃が問題になってきます。日本では1995年に阪神淡路大震災が起き、膨大なエネルギーと時間をかけ、復興に向けた努力を行ってきました。先進国の場合、何とか元の姿に戻すことができたとしても、発展途上国の場合では、全てが完全に戻ることは難しいと思います。
出典:ADRA JAPAN HP(http://blog.canpan.info/adrajapan/archive/96)
早稲田大学環境総合研究センター
客員研究員 神宮文代
最近、CO2を巡る数値をいろいろなところで見かけるようになってきました。私のところにも「CO2の計算をしてほしい。」という依頼が頻繁にくるようになってきています。とくに、企業の方々は、数値で表現した方が、インパクトがあるので、ニーズが高いようです。
そのときにその数値に惑わされないようにしてください。同じCO2でも、それが「排出量」なのか「削減量」なのかで意味は大きく変わってきます。例えば、この469maランドで出力されるのは「排出量」です。排出量は当然、少ない方がよいですよね。一方、「削減量」は何かと何かを比較して、どれだけ減ったかを表現する場合に用いられます。たくさん、削減した方がよいので、削減量は大きい方がよいです。
これらの情報は、一種の情報提供やPRの材料として活用されることが多いです。したがって、少し言い方は悪いですが、情報を提供する方は、自分たちの都合がよい数値を提示しようとします。本来は、その数値がどのように計算されたのかまでを検証する作業が必要ですが、まずは、CO2に関する数値を目にしたら、それが「排出量」なのか「削減量」なのかを見分けるようにしてみてください。
下記の雑誌では、「CO2削減量」を教えてほしいということで取材を受けたものです。実は、これを説明するためには、非常に細かい条件設定が必要になるのですが、紙面の都合上、詳細な説明はできませんでした。上記の観点から、改めて眺めてみてください。
http://e-wei.co.jp/pdf/1003%20oggi.pdf
2008年7月に北海道で洞爺湖サミットが開催されました。
「洞爺湖サミット」とは、毎年開催される
主要国首脳会議の中の第34回目の通称で、
その成果は、経済・社会問題をなどの様々な課題について
各国が話し合った結果が、宣言としてまとめられます。
さて、この洞爺湖サミットでは、G8の首相が集まって話しあった結果、
2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を
少なくとも2000年と比べて50%削減するという達成目標をたて、
国連気候変動枠組条約(UNFOOC)のすべての締約国と共有し、
採択を求めるということで意見が一致しました。
「採択を求める」ということは、
この合意を保留したに過ぎませんが、
このような議論が行われたことについては、大変意味があります。
IPCC(※1)が発表した報告によると、
仮に2050年までにCO2を50%削減できる最良のケースでも
平均気温や海面水位は上昇すると発表しています。
※1:IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とは、最新の科学・技術・社会をもとに、気候変動に関する原因や影響について評価や助言を行っている国際機関です。
つまり、このままの生活を送っていては、
いずれ私たちが今まで通り生活できるような環境では
なくなるということになります。
CO2の削減は、人間の生死がかかった重要な問題なのです。
現在の世界の人口は、68億人を超えどんどん増え続けています。国別でみると、1位が中国、次いでインド、アメリカ・・・そして10位に日本があがっています。
人口が増加すると、どのようなことが起こるのでしょうか。まず、生きていくために食糧が必要になります。しかし、この人口を満足させるだけの食糧は、残念ながら地球上にはないといわれています。
この人口問題の対策として記憶に新しいものに、1970年代後半からはじまった中国の"一人っ子政策"が想起されます。この対策は中国に急成長をもたらしました。
少なからず、人が増えれば二酸化炭素(CO2)排出量は増えていきます。環境という側面を考えても、人口問題は大変重要な課題といえます。
早稲田大学環境総合研究センター
客員研究員 神宮文代