はじめに
みなさん、こんにちは。
最近、環境問題が注目されているなかで、黄砂、干ばつ、暖冬などの異常気象に関するニュースに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
その原因のひとつが、温室効果ガスの大量放出に起因する地球温暖化です。「温暖化といっても1℃、2℃ぐらいの変化でしょう。」と軽視されやすいのですが、それは間違った認識です。私たちは都市に住み、エアコン、冷蔵庫、テレビなど、人間の知恵を積み重ねて創造してきた科学技術に恵まれ、快適な生活を暮らしている一方、自然のわずかな変化に鈍感になり、黄砂、竜巻などの大きな異常気象にしか着目せず、大自然から離れつつあります。
生態系は私たちが思うより、ずっと複雑なものです。わずかな気温の上昇で微生物の大量繁殖、氷河の融解、動物の絶滅などの現象につながってしまうのです。ですから、1℃の変化だけで生態系に大きな影響を与えてしまうのです。
それでは、具体的に温暖化によってどんなことが起きているのでしょうか。
⇒氷河がとけてしまう!
氷河はその美しい姿と壮大なる大自然の魅力で多くの観光客を呼んでいます。しかし、氷河のメリットはそれだけではありません。
地球上の淡水の70%を保持していることに加え、生態系にも大きな役割を果たしています。温暖化の影響で今世紀の終わりまでには平均気温の上昇は4℃に達し、この大切な氷河は、ほとんどが失われてしまうといわれています。これにより、海面が上昇し、沿岸部とのそ生態系が破壊されるほか、標高の低い島は水没してしまう可能性もあるのです。そのほかにも、氷河の水を頼りにしている国々では、大きな水不足が起きてしまいます。
⇒北極の動物が絶滅!
氷原が広がる美しい北極には、イッカク、ホッキョクグマ、ホッキョククジラ、シャチ、セイウチなどの動物園や水族館の"人気者"が生息しています。しかし、地球温暖化の影響で、動物たちは被害を受けています。たとえば、角を持つ小さな鯨"イッカク"は、氷で99%閉ざされている海域で生活しています。氷がとけると、天敵のシャチが生息海域に侵入しやすくなります。また、気候変動への適応能力が低いため、北極の中で絶滅の可能性が1番高いとアメリカの研究チームが発表しています。
そのほか、ホッキョクグマは現在、世界に約2?2.5万頭が生息しています。彼らは氷の上でエサをとって暮らしています。北極海の氷は、10年間で10%ずつとけて減っているといわれています。氷の大地がバラバラになると、ホッキョクグマたちはエサがとれなくなり、もっと大きな氷へと移動しなくてはなりません。しかし、隣の氷まではとても遠くて、ほとんどは死んでしまいます。ホッキョクグマの絶滅可能性は2番目に高いとアメリカの同じ研究チームが発表しています。
これだけではなく、オゾン層の破壊、酸性雨やその他の異常気象も温暖化と関係があります。「まさかこんな悲しいことが起こっているとは・・・。」と思われた方も多いのではないでしょうか。でも、これを知るだけでも大きな一歩です。
こうした事態を食い止めるために、私たちと一緒に今から省エネ・省CO2活動を実践してみましょう。次回からはテーマ別に紹介していきたいと思います。
株式会社早稲田環境研究所
研究員 胡浩(ココウ)