先日、私の育った田舎を訪れました。
野山を駆け巡った思い出をひもときながらの旅でしたが、懐かしさとちょっとした寂しさを感じるものとなりました。
当たり前のことなのでしょうが、すっかり風景が変わっていました。赤いほっぺたで駆けずり回った野山はゴルフ場として開発され、面影はありませんでした。
猛烈にゴルフ場が開発されたのがバブルと呼ばれた時代です。
「この間○○のコース買ったよ。今度行こうよ」
一千万円単位の会員権をサラリーマンがローンで買っていた頃です。企業は法人会員と称して億単位が当然のように販売されていました。接待用というやつですね。名門コースとなると予約もなかなか取れない。そんな時代でした。
子供の頃から運動が好きな私にとって、スポーツをする場所が何千万も出さないと権利が貰えない。そのうえ休みの日に行けば何万円も費用がかかる。スポーツなのだからもっと手軽に出来ないものなのか、と思ったりもしていました。
ところが今や企業は、キャッシュ・フローを高める為に、自身が持っている会員権を売り払っているとも聞いたりします。時の移り変わりにより価値観は大きく変わっていくものです。
故郷に帰った後、ネットで日本のゴルフ場の数を調べてみました。
そのサイトのデータによると、世界で一番コースがあるのは米国で、約16000箇所。日本は何と世界二位で、約2400箇所とありました。
こんな狭い国土でゴルフ場の数が世界第二位なんて......。
子供の頃の故郷の秋は、キノコ狩りの絶好の場所でした。
松茸や初茸が沢山採れ、松の木の大木が山奥のどこまでも生い茂り、キノコ採りにはまさに最適の場所でした。
今やゴルフ場の開発に、松くい虫にやられ大きな松の木はほとんど無くなりました。潅木が茂り、杉の木が植えられています。
地元の知り合いの人たちに尋ねると、
「松茸やキノコなんてもう殆ど取れないよ」
環境問題なんて当時は多くの人が気にもせず、開発ばかりに目が向いていました。
面影がすっかりと変わっていた故郷。
自分の思い出だけが変わって欲しくないというのは、ゴルフをする人間としては、わがままなのでしょうね。