静岡には四年暮らしていました。初めての転勤で行った北海道もそうですが、この静岡も私に強烈なインパクトを残してくれました。というのもいろいろなことが凝縮されたように起こり、思い入れの強い街となりました。
自然環境は当然のごとく素晴らしく、伊豆の山々は本当に心を和ませてくれます。至るところに温泉もあります。下手なゴルフも熱心にやりだしたり、波乗りを久々にやったのもこの頃です。
ある日先輩から電話がありました。
「有賀、これからは波乗りの時代だよ」
「先輩、四十過ぎてもやるんですか?」
「バカ、ショートじゃねぇよ、ロングだよ」
「ロング?」
「おまえロンバケ、見てねーの?」
バブル時代からイケイケがまったく変わらないその先輩は、ロンバケを知らない私を見下げたように話ました。番組の中でマイク真木さんが、サーフィンをやり、しかもロングボードがすごくかっこいいと。
「来週、静岡まで行ってやるから付き合え」
その一言で、静岡にある静波海岸へ先輩と連れ立って行く事になりました。
「どうだ。痛いほどに視線感じるだろ」
先輩に借りたロングボードを脇に抱え砂浜を歩いていると、ショートボードをやっている連中からの視線が凄いんです。
「なっ、有賀。言った通りだろ。ショート全盛の中、こうやってロングボードを抱えていると、昔ブイブイ言わせた洒落たオヤジと思われるんだよ」
目立つことが大好きな先輩はそう言って、自慢気にロングボードを波に浮かべ、早速パドリンクで沖に向かい始めました。
私も痛いほど背中に浴びる視線を感じながら、ボードを海に浮かべでパドリング。
ところが、波が意外に立っていて、上手くパドリングが出来ません。おまけにロングは長いだけあって、扱いが難しいのです。
慣れている先輩は、さつさと波をクリアして沖に行っています。私は波との格闘が始まりました。二十年振りの波乗りとはいえ、沖に出られないなんて......。
20分くらい波と格闘していたと思います。結局疲れ果てた私は、ボードを脇に抱え、砂浜にトボトボと戻っていきました。
その時、はっとしました。
ショートの連中の刺さるようなまでの視線が......。
「な?んだ、このオヤジ、沖に出れねぇんだ。だせえなあ」
自然環境は当然のごとく素晴らしく、伊豆の山々は本当に心を和ませてくれます。至るところに温泉もあります。下手なゴルフも熱心にやりだしたり、波乗りを久々にやったのもこの頃です。
ある日先輩から電話がありました。
「有賀、これからは波乗りの時代だよ」
「先輩、四十過ぎてもやるんですか?」
「バカ、ショートじゃねぇよ、ロングだよ」
「ロング?」
「おまえロンバケ、見てねーの?」
バブル時代からイケイケがまったく変わらないその先輩は、ロンバケを知らない私を見下げたように話ました。番組の中でマイク真木さんが、サーフィンをやり、しかもロングボードがすごくかっこいいと。
「来週、静岡まで行ってやるから付き合え」
その一言で、静岡にある静波海岸へ先輩と連れ立って行く事になりました。
「どうだ。痛いほどに視線感じるだろ」
先輩に借りたロングボードを脇に抱え砂浜を歩いていると、ショートボードをやっている連中からの視線が凄いんです。
「なっ、有賀。言った通りだろ。ショート全盛の中、こうやってロングボードを抱えていると、昔ブイブイ言わせた洒落たオヤジと思われるんだよ」
目立つことが大好きな先輩はそう言って、自慢気にロングボードを波に浮かべ、早速パドリンクで沖に向かい始めました。
私も痛いほど背中に浴びる視線を感じながら、ボードを海に浮かべでパドリング。
ところが、波が意外に立っていて、上手くパドリングが出来ません。おまけにロングは長いだけあって、扱いが難しいのです。
慣れている先輩は、さつさと波をクリアして沖に行っています。私は波との格闘が始まりました。二十年振りの波乗りとはいえ、沖に出られないなんて......。
20分くらい波と格闘していたと思います。結局疲れ果てた私は、ボードを脇に抱え、砂浜にトボトボと戻っていきました。
その時、はっとしました。
ショートの連中の刺さるようなまでの視線が......。
「な?んだ、このオヤジ、沖に出れねぇんだ。だせえなあ」