春は海草のおいしい季節。採れたての新鮮な海草が店頭に並んでいます。中でも近年、健康の面で注目を浴びているのがメカブ。
1月?4月末までの短い期間に収穫されます。ゆでると一瞬で鮮やかな緑色に変わり、これを細かく刻めばヌメリが強く、味も濃く、歯ごたえもしっかり。茹でて加工されていたり、保存がきくよう乾燥させている製品よりも、おいしく食べられます。
ホカホカごはんに乗せてしょうゆをかけ、豪快にかき込むのも最高ですね。しかも、身体にいい成分が驚くほど豊富。そんなすばらしいメカブワールドへみなさんをお誘いしましょう。
みなさんは、メカブとはいったい何かを知っていますか? 昆布でしょうか? いいえ、違います。実はワカメの生殖機能部位なのです。根に近い部分で、厚みのあるひだ状になっていて、ひとつのメカブから数億個の胞子が飛び出す胞子葉というもの。新しいワカメを生み出す、生命力たっぷりの部位というわけです。ですから栄養がギュッと詰まっているというのも、うなずけますね。
メカブは古くから、乾燥品が民間薬として利用されてきました。あのネバネバと強いヌメリには、健康にもよいと言われている「フコイダン」と「アルギン酸」という水溶性の植物繊維が含まれていて、その量はワカメの数倍も多いそうです。
この成分はガンの予防、腸や肝臓の機能向上、消化不良や便秘改善、血圧を下げ動脈硬化を予防するといわれています。さらにメカブに含まれる多糖体は免疫力を高め、老化防止効果があることも報告されています。
またカルシウム、カリウム、マグネシウムが多く、鉄やヨード、さらにEPA(エイコサペンタエン酸)などの身体によい有機脂肪酸もバランスよく含んでいます。その他に体臭・口臭などを抑えてくれる役割もします。
最近ではメカブ入りシャンプーなどヘアケア製品も登場していますね。これはメカブのアルギン酸が髪に吸着し、髪全体に薄い皮膜を作って、傷んだキューティクルを補修するという効果が期待されているため。使い続けるとしっとりとした髪になるそうです。
健康にも美容にもいいメカブ。生のおいしいメカブが食べられる期間はあと少しです。しかも生のメカブは、加工品よりもお値段も手頃というのもうれしい。さっそくお店に足を運んで、旬の味わいを堪能してくださいね。
レシピ「メカブと豆腐のトロトロそば」
メカブはさっとゆでた後に、刻むだけで食べられるお手軽食材。濃い茶色からきれいな緑色にサッと変化する様子を見るのも楽しいものです。ただしそのヌメリはかなりのものなので、滑って切りにくいのが難点。きれいに千切りするのはなかなか大変ですから、あまり気にせずみじん切りにしてしまいましょう。そのまましょうゆや酢醤油をかけて食べても十分おいしいのですが、納豆や山芋と一緒に混ぜてどんぶりにすれば、ネバネバ丼に。
今回は相性のいい豆腐と一緒におそばに乗せてみました。食べるときには遠慮なく全体をよく混ぜて、メカブのネバネバをおそばにしっかりと絡めれば、トロリとした食感がたまりません。冷たいおそばで作りましたが温かいおそばでもおいしいですよ。
[材料 2人分]
メカブ...1株
そば(乾麺)... 200g
豆腐...1/2丁
長ねぎ...1/2本
鰹節...適量
そばつゆ[かつおだし汁200mlに砂糖(てんさい糖やきび砂糖など精製されていないもの)小さじ2としょうゆ大さじ3を加え、弱火で2?3分煮たものを冷やしておく]
[作り方]
1. 鍋にたっぷりの湯を沸かし、メカブはさっと洗って汚れを落として鍋に入れる。全体の色が変わったら約1分後に取り出し、さっと冷水につけて粗熱をとる。
2. ゆでたメカブは滑るので、注意しながら粗みじん切りにする。まず芯とひだの部分を切り分けてから、みじん切りすると切りやすい。
3. そばを袋の表示どおりにゆで、ざるにあけてよく水洗いをする。
4. 長ネギは小口切りに、豆腐は軽く水気を切って一口サイズぐらいに手でちぎる。
5. そばを器に盛り、メカブ、豆腐、長ネギ、鰹節を盛り付ける。
6. そばつゆを食べる直前にかけ、全体をよく混ぜる。
濃い茶色のメカブをゆでれば...
このように緑色に変化します
刻んだメカブは冷蔵庫で保存して、早めに食べてください。目安は2?3日間くらいです
材料を乗せるだけなのでとても簡単です