4月13日?17日までの5日間、佐々木かをりさんが主宰されている「イー・ウーマン」というWEBサイトの「働く人の円卓会議」で「なるべく、国産の有機野菜を食べていますか?」をテーマに議長を務めました。
円卓会議には6つの部門があって、毎週6人の議長が発題し、その質問に読者がYes、Noを投票したり、意見を投稿するという参加型の読み物です。
※「働く人の円卓会議」 http://www.ewoman.co.jp/report_db/id/2702/dow/5/
今回の私が取り上げたテーマは国産の有機の農産物ですが、昨年から「有機農業普及啓発会議」の委員を務めることになり、私自身このテーマに大いに関心を寄せ、各地の有機農家を訪ね歩いているところです。
このコラムでも連載第6回「有機の里づくりをめざして―埼玉県比企郡小川町「霜里農場」の挑戦―」でご紹介した農場主の金子美登さんとは、この会議で知り合いました。
※ゆうきひろがるキャンペーン http://www.yuki-hirogaru.net/index.html
円卓会議「国産の有機野菜を食べますか?」への読者の皆さんの関心も高く、最終的にYes371票(71%)、No165票(29%)、合計で536人の方が投票してくださいました。皆さんのご意見はどちらですか?
◆有機農産物を増やす方法
どうすれば、有機農産物をもっと増やすことができるのか、色々なアイディアや提案をいただきました。是非、みなさんからもお聞かせいただきたいところです。
・「生協を利用する」
最近は有機農産物を中心に扱う通販型の生協や通販会社も各地にあるので探して利用してみたいですね。
・「一般のスーパーで、もう少し価格を抑えた有機野菜が購入できるようになるとよい。」、「流通の中間搾取を止め、農家にきちんと収益が入り、消費者に適正価格で販売される市場を作ること」
確かに有機だから高く売れるとか、高く売っているという小売店などもあると私も思います。有機農産物の流通を促進するには小売業者が利益を減らしてでも他の野菜と同等の価格にします、というようなスーパーがあったら応援したいですね。
・「農家に対する助成金を引き上げる」
確かにEU諸国では有機農家に助成金が出ています。日本でもいずれそうなる日が来るのではないでしょうか。
・「小学校などで野菜作りの強化拡大をする」
環境教育の観点も重要です。愛媛県の今治市では地域を挙げて有機農産物の促進に取り組んでいますが、学校給食にも地元の有機野菜を活用していると聞いています。また、昨年から全国で小学校5年生を対象とした農村体験も始まっています。
・「有機野菜を自給する」
"国産の有機農産物を食べる"ということは、必ずしも農家や小売店、通販会社から購入するに限りません。自分で作る方法もありますね。庭先、ベランダ、あるいは農園を借りてなど。
◆食糧自給率を何とかしたいし、豊かな自然を残したいから
私が有機農業に関心を持っている理由は二つあります。一つは、有機農業推進法にもうたわれている生物多様性です。その農法が多様な生物の棲息につながり、豊かな自然や、里山のある景観が維持されることにつながるからです。
有機の里づくりに取組みコウノトリやトキを再び自然に蘇られせた話や、蛍が飛び交う田んぼの水は甘いとか・・・そういう話をよく耳にします。
そして、もう一つは、"提携"といわれている生産者と消費者の関係性にあります。「霜里農場」の金子さんのところは、約40世帯の消費者と"提携"し、お米や野菜、卵を届けつづけています。親戚づきあい以上の関係だそうです。
この"提携"という1970年代に生まれた日本発の消費者が生産者を支える仕組みは、世界40カ国に広がり、現在アメリカではCSA(コミュニティ・サポーテッド・アグリカルチャー)という呼称で知られるようになり、最近逆輸入されて雑誌などで時々みかけるようになりました。
そして何より、今後のことを考えると、やはり国産です。日本の食糧自給率の低さは、気になっていると思いますが40%です。60%を輸入に頼っているわけです。
先進国の中でも最も低く、昨年のように石油価格が上がり、トウモロコシはエタノールに使われ、さらに気候変動が進んで極端な気候が増えることで農産物の生産が打撃を受け、アメリカから輸入できなくなったら、また人口増加で中国から農産物が輸入できなくなったら・・・。これが私の危機意識です。日本のフード・セキュリティ(食糧安全保障)です。
なので、国産の、できれば地元産で、(かつ有機が好ましい)のものをもっと増やす、その為には消費者が意識を持って、そういうものを買うようにすることが鍵だと思うのですが、いかがでしょうか。