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今月のクローズアップ食材「寒天」

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 みなさん、夏バテが残っていませんか。私はまるで子供のようで情けないのですが、夏の間冷たいものを食べたり飲んだりし過ぎたのか、お腹の調子が不安定。この時期は夏の疲れが胃腸にくる季節でもありますね。そんな時、お腹の調子をコントロールしてくれるのが「寒天」です。寒天料理は透明感があって涼しげで、まだまだ暑い季節に合う食材です。

 寒天の原料には天草とオゴノリといった「紅藻」と呼ばれる海草が使われていて、寒天になるまでには多くの時間と手間がかかっています。まず海草の不純物を取り除いて、何日もかけて清水にさらして塩気やアクを抜きます。そして大きな釜で混ぜながら煮ていき、海草を搾って寒天液を抽出し、モロブタという木型に流し入れ、冷やして固めたのが「ところてん」です。これをところてん突きなどで細く整形したものが糸(細)寒天に、長四角形に切ったものが角(棒)寒天になります。

 12?2月に戸外の干し場に並べ、夜間は凍結させ、10日〜2週間もかけて日中に融解、乾燥を繰り返すうちに寒天になるのです。雨や雪で濡れないよう、注意深く作られていく寒天。日本ならではの気候から生まれた寒天を、私たちは大事にいただき、いつまでも守っていきたいものです。

 ただしこれは天然寒天の製法で、天日を利用せず機械を使って大量生産する「工業寒天」もあります。角寒天と糸寒天のほとんどが天然寒天で、粉末寒天には工業寒天が多いようです。

 

 驚くことにこの寒天は、食品の食物繊維含有率1位なのだそうです。ご存知のとおり、植物繊維は腸の健康に欠かせません。食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があり、100%海草の寒天は、水溶性植物繊維を大量に含んでいます。水溶性植物繊維の特徴は、まず腸内の善玉菌を増やしてくれること。善玉菌が減って悪玉菌が増えてしまうと、腸の活動が鈍くなり、様々な病気を引き起こすため、善玉菌を増やしていくことは大切です。

 また水溶性植物繊維は、腸の中で溶けて食べたもののカスをからめ取り、腸を掃除してくれます。さらに寒天はカルシウムやミネラル、鉄分などもありながら、なんとカロリーはほぼゼロ! たくさん食べても太る心配はありません。

 そういえば2年くらい前、ダイエット食材として寒天がブームになり、店頭では品切れ続出だったのをみなさんは覚えているでしょうか。手間をかけて乾燥させて作られた寒天は、家庭で再び戻し、料理をしなくてはいけないというまさにスローフード。ブームのときは一生懸命食べていたけれど、面倒になってすっかり「寒天離れ」してしまった人もいるのでは? ダイエットだけでなく寒天の健康効果をもう一度見直して、様々な料理に活用してみてはいかがでしょうか。

                 レシピ「蟹と野菜の寒天寄せ」

 寒天はツルンとしているけれどちょっとコリッとした、ゼラチンで作るゼリーとは異なる独特の食感が特徴です。寒天を使った料理でまず思い浮かべるのは、みつ豆ではないでしょうか。その他にも使い道はいろいろあります。お子さんには牛乳かんなどを作ってあげると安全安心なおやつに。健康のために寒天を食べたいけれど、手間がかかるという人は、炊飯のときに寒天をちぎって加えるだけでもOK。わざわざ戻す必要がなく、ごはんはツヤツヤ、植物繊維も摂れます。  

 

 さて、今回は寒天寄せを作ってみました。意外に簡単に作れるのに彩りがきれいで、豪華に見えるので、おもてなし料理にもおすすめです。

[材料 約8人前]
角(棒)寒天...1本
枝豆(さや付き)...70g
しいたけ...4枚
にんじん...30g
蟹身...50g
だし汁(鰹と昆布)...500ml
酒...大さじ1
しょうゆ...小さじ2
塩...少々

[作り方]
1. 寒天は水洗いして3?4時間、たっぷりの水に浸しておく。
2. 1の寒天を固くしぼり、細かくちぎって鍋に入れる。だし汁を注ぎ火にかけて、酒を入れてかき混ぜながらしっかりと溶かす。あくが出たらすくっておく。しょうゆ、塩で調味する。
3. 枝豆はゆでてさやから取り出し、にんじん、しいたけは千切りにしてさっと下ゆでする。蟹身はほぐしておく。
4. 2を水にぬらした型や密閉容器に注ぎ枝豆、にんじん、しいたけ、蟹身をバランスよく入れていく。だし汁が固まってきていたら、再び火にかけて液状にすること。
5. 粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて冷やし固める。
6. 型から取り出し、好みの大きさに切って皿に盛り付ける。

 

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                          (角寒天)
         2本入りで販売されていることが多いです。今回は1本を使います

 

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                   (固く絞って千切る)
      水に戻して絞ってから千切ります。寒天がプニュプニュと柔らかく、楽しい作業

 

 

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                        (下ゆでした野菜)
ごぼうや竹の子、いんげんなど、様々な野菜で応用できます。
残り野菜を有効に使いましょう


 

 

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                   (密閉容器に入れる)
       型があるとよりきれいにできますが、今回は手軽な密閉容器を使いました


 

 

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                         (完成)
     いちばんのクライマックスはカットして断面を見るとき。きれいだとちょっとうれしい!