1年中食べることができるけれど、冬になると一層おいしくなる野菜といえばねぎ。ねぎは寒さに当たると太く、柔らかくなり、甘みや風味が増すからです。とりわけ冬に旬を迎えるのは、根深ねぎといわれる種類。根深ねぎとは一般に長ねぎや白ねぎと呼ばれるもので、葉ねぎ(青ねぎ)と大別されます。
東日本では根深ねぎ、西日本では葉ねぎが好まれて食べられてきましたが、近年は東日本、西日本の好みの差は次第になくなってきています。根深ねぎは、土をかぶせて白い部分を長く育てたもので、深谷ねぎや下仁田ねぎなどの種類があります。今回は、冬にたっぷり食べたい長ねぎをクローズアップして紹介しましょう。
冬に出番の多くなる鍋料理、そばやラーメンなどの麺類など、長ねぎなしでは味気ないものになってしまう料理は多数ありますね。肉や魚の臭みを取ってくれるうえ、食欲増進や料理の彩りとしても大活躍。長ねぎは存在感たっぷりの名脇役といえるでしょう。その他、煮物や炒めものなど、長ねぎが登場する料理はたくさん。いつも家庭にある野菜のひとつといっていいかもしれませんね。
ねぎの原産地といわれている中国では「体を温め、疲労を回復する薬用植物」とされてきました。ねぎ特有の辛みとにおいのもとは硫化アリルという成分で、ビタミンB1の吸収を助ける役目をするものもあります。
また風邪をひいた時に焼いた長ねぎをくるんだ布を首に巻くと症状を鎮めるといわれていますね。長ねぎがのどの痛みや咳、鼻水の症状をやわらげてくれる働きがあるとされているからです。その他にも体を温め、新陳代謝を活発にしてくれるなど、あの長細い容姿には、うれしい効果が詰まっているのです。長ねぎの青い葉の部分もビタミンやカロチンが豊富なので、捨てずに食べていただきたいですね。葉の中のぬめりが気になる場合は、包丁の背などでしごいて取ってください。
この時期、長ねぎをたっぷり食べたいなら、「焼きねぎ」がおすすめ。焼くことで長ねぎの甘みがいっそう増すからです。フライパンやグリルで表面を香ばしく焼いたら、そのまましょうゆやポン酢をつけて食べるのもいいし、マリネにしておけば保存もできます。
最後に、長ねぎを選ぶときは、白い部分と青い部分がはっきりと分かれていて、色つやがきれいでよくしまり、張りのあるものがおすすめです。保存の際は新聞紙に包み、冷暗所に立てて置きましょう。また冬は泥つきのねぎも多く出荷される時期。泥つきならそのまま土に埋めておくと、長持ちしますよ。
レシピ「長ねぎとスモークサーモンのキッシュ」
長ねぎというと和の料理を連想させますが、実は洋風にも合う食材。グラタンやパスタなどに向いています。今回はキッシュを作ってみましょう。長ねぎの甘みを存分に引き出したメニューです。実はこれは、ケーキ作りがプロ級にうまい友人から伝授されたレシピを参考にしたもので、キッシュの台づくりがとてもカンタン! 生地を混ぜたりこねたりする必要がまったくないのです。お客さんを招くことの多い季節、このキッシュをメニューに加えたら、きっと喜ばれるはずですよ。
[材料 半径22?の台1個分]
小麦粉...200g
溶かしバター...100g
長ねぎ...1本
スモークサーモン...80g
卵...2個
牛乳...100ml
生クリーム...100ml
パルメザンチーズ...大さじ2
サラダ油...少々
塩...少々
[作り方]
1. 大きめの密閉容器に小麦粉、塩少々を入れ、中心にくぼみを作り、水大さじ4と溶かしバターを入れ、しっかりとフタをして30回上下左右に振る。
2. ふたを開けて、まとまっていなくても周りをこそげ取りながら取り出し、丸くまとめる。(※ここでこねてはいけません!)ラップに包んで冷蔵庫で1時間寝かす。
3. フライパンにサラダ油を熱し、小口切りにした長ねぎを入れて、しんなりするまで炒める。
4. ボールに卵、牛乳、生クリーム、パルメザンチーズ、塩を入れてよく混ぜ合わせる。
5. 冷蔵庫から2を取り出し、台に均一に広げて180℃に熱したオーブンで20分焼く。
6. 5をオーブンから取り出し、粗熱が取れたら、3のネギと食べやすいサイズに切ったスモークサーモンを均一に乗せていく。
7. 4を注ぎ入れ、180度に熱したオーブンで30分焼く。
(長ねぎ)
白い部分と青い部分がくっきり。太くてツヤのあるおいしそうな長ねぎです
(密閉容器の生地・丸めたところ)
振った後はこのようにまとまっていなくても大丈夫。なんとなく丸くしてラップに包みます
(焼いた後の台)
こねない理由は、サクサク生地にするため。ここがポイントです
(長ねぎとサーモンを乗せる)
長ねぎとスモークサーモンは相性抜群。スモークサーモンの塩分が強い場合は塩を控えめに
(焼き上がり)
表面に焼き色が付いて、ちょっと押してみて弾力があれば完成です
( カット)
紅茶と一緒にティータイムに、ワインと一緒にいただくのも格別