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2010年2月アーカイブ

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  雑穀とは、一般的にきび、あわ、ひえといった白米以外の穀物のことをいいます。最近では食材としてすっかり定着しましたね。数種類の雑穀がブレンドされた商品も数多く、雑穀が手軽に試せるようにもなりました。お米に混ぜて炊けば、毎日の主食の栄養価がぐんと増しますね。
  日本では昔から雑穀を主食として食べてきましたが、戦後になると白米が一般的になり、雑穀は敬遠される傾向が強まりました。しかしここ数年、生活習慣病がクローズアップされ、「食生活の見直し」を考える人が増えたことで、栄養価の高い雑穀が注目されるようになったのです。
  雑穀のいいところは第一に食物繊維が豊富なこと。食物繊維は便秘の解消、血液中のコレステロールを減らすなどの効果があり、様々な病気予防につながります。また雑穀は腸の中でゆっくりと消化されるため、血糖値の上昇を抑えてくれます。白米よりも噛みごたえがあるため、よくかむ習慣も身に付き、満腹感を得やすいのでダイエットにも効果的です。

では主な雑穀の特徴をみてみましょう。

〔きび〕きびは食物繊維のほか、鉄分、カルシウム、マグネシウムが豊富。動脈硬化の予防に効果があります。一般的に使われる「高きび」は、調理するとコクと粘りが出るので、ハンバーグや肉団子などのひき肉に混ぜれば、ヘルシー料理になります。

〔あわ〕ビタミン、ミネラル、鉄分が豊富。マグネシウム、カルシウムも含まれているので骨や歯の発育を手助けしてくれます。上品な甘みがあり、古くからお菓子の材料に使われてきました。

〔ひえ〕日本で最も古くから食べられているといわれる雑穀です。ミネラル・食物繊維が豊富で、食物アレルギーのある人でも比較的安心して食べられます。パサつきやすいですが、白米に混ぜて炊くと食べやすくなります。

〔黒米〕黒米の黒色は、アントシアニンというプリフェノールの一種。活性酸素を除去し、動脈硬化を防ぎます。食感と香ばしさが楽しめ、黒米を白米に混ぜて炊くと赤色になってお赤飯のようです。

〔押し麦〕大麦を蒸気で加熱してローラーでつぶしたものです。食物繊維は白米の20倍。弾力のある食感が魅力で、消化吸収が早い雑穀です。
 

  さて、数ある雑穀の中で私が強くおすすめしたいのが、「アマランサス」。アンデス原産で、1ミリ以下のとても小さな粒です。でも小粒ながら、その栄養価は雑穀の中でもトップクラス。カルシウムは白米の32倍もあり、鉄やマグネシウムは白米の約13倍もあります。さらにビタミンB2や葉酸も豊富。しかも調理がしやすく、プチプチした食感が楽しめます。今回のレシピでは、このアマランサスを使った料理をご紹介しましょう。

          レシピ「イカと春菊のアマランサスドレッシングサラダ」

  アマランサスは10分ほどゆでれば、すぐに食べられてとてもお手軽。小粒という特性を活かして、ドレッシングにしてみました。具にも絡みやすく、とにかく食感が楽しいのです。今が旬の春菊は葉が柔らかく、サラダにするとえぐみも少なくておいしい。たっぷり作っても、あっという間に食べきってしまいますよ。今回のサラダには茎の部分は使用しませんが、こちらは細かく刻んで味噌汁の薬味にするなど、残さず使ってくださいね。

[材料約 2人前]
春菊...1/2袋
イカ(生食用 やりいか・もんごういかなど)...100g
アマランサス...12g
ゆずの皮...少々
しょうゆ...大さじ1
ごま油...小さじ2
酢...小さじ2
塩...少々

[作り方]
1. 春菊は葉の部分だけ手で摘み取り、冷水で洗いざるに上げておく。イカは薄い短冊切りにする。
2. アマランサスは10分ほどゆでて、茶漉しに開けて水気を切る。
3. 容器(コップ、小さめのボウルなど)にアマランサス、ゆずの皮の千切り、しょうゆ、酢、ごま油を入れて、よく混ぜる。塩で味を調整してドレッシングを作る。
4. 大きめのボウルに春菊の葉とイカを入れ、3のドレッシングを混ぜながら加える。
5. ボウルの中であえる。

 

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                                        (アマランサス)
                一粒は1ミリ以下。栄養がたくさん詰まったアマランサス

 

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                                               (春菊)
  春菊もカルシウム、鉄分が豊富。アマランサスと相乗効果が期待できます

 

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                                         (茶漉しで水切り)
小さい粒なので茶漉しが便利。わずか10分ほどで火がとおり、透明感が出ます

 

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                                          (ドレッシング)
               アマランサスドレッシングの完成。どんなサラダにも合います

 

 

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                      (完成)
    ほんのり苦味があって味わい深い、栄養たっぷりの冬サラダです


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  欲しくても買えない野菜やお米があります。何でもお金を出せば物は買えると思っていたのですが、そうでもない世界がありました。
 一年前、2009年1月に埼玉県小川町にある有機農家「霜里農場」を訪ねました。霜里農場の金子美登さんは、有機農業を始めて約40年、草分けのお一人です。今年1月5日にNHK「プロフェッショナルの仕事の流儀」に出演されましたので、ご覧になった方もあるかもしれません。
昨年私が参加した農場見学会は2ヶ月に1回開催されています。50人位の人が東京や神奈川などからも参加していました。(NHK放映の影響で今年は3、5、7月ももう定員になってしまったそうですが・・)農業を志している人も来ますが、多くは一般の人です。

 金子さんのお話を聞き、続いて農場をぐるっと見学します。お話をお聞きし見学するうちに、ぜひ金子さんの野菜を買って帰りたい、食べたいな、という気持ちがムクムク湧いてきます。でも、買うことはできません。一般には販売していないのです。

 

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                                    少量多品種の野菜が植えられている農場

 

  30年以上前から、金子さんは直接消費者に届けてきました。農薬や化学肥料を使わず、じっくりつくった土で育った野菜。有機農家を支えよう、そして自分と家族の安全で美味しい食を支えてもうらおう。生産者と消費者の"提携"というスタイルです。野菜は定期的に届けられ、それに消費者は支払うというものですが、金子さんの場合は"お礼制"と言って、値段は消費者が決めるのです。「心をこめて手塩にかけて育てた野菜に値段をつけるなんてできない」、と金子さんは思っているのでしょう。

   この"提携"という、生産者と消費者が支え合う関係を提唱したのは、「日本有機農業研究会」を創設した一楽照雄さんで、1977年の雑誌掲載された「生産者と消費者との提携・十箇条」という原稿ががあります。その第1条にはこう書かれています。

  第1条 「生産者と消費者の提携の本質は、物の売り買い関係ではなく、人と人との友好的付き合い関係である。すなわち両者は対等の立場で、互いに理解し、相助け合う関係である。それは生産者、消費者としての生活の見直しに基づかねばならない。

 金子さんは数十軒の消費者と提携関係にありますが、お付き合いも二十年、三十年と長く、親戚のようなおつきあいです。人間関係も有機的なんですね。

 "提携"は、日本で生まれ、80年代初頭には"TEIKEI"として欧米に紹介されました。アメリカではCSA(コミュニティ・サポーテッドアグリカルチャー)、イギリスではボックス・スキームなどと呼ばれ、定着しています。自治体単位で行っているところもあり、いずれもローカル(地域)で農産物は地産地消されています。
行き過ぎたグローバル経済に対して、ローカル経済をもっと大事にしよう、という考え方でもあります。

2月20?21日、「地域が支える食と農 ―神戸大会」(http://kobe2010.net/jp/index.html)が開かれます。国内を始め世界からCSAや有機農業の関係者が集まります。金子美登さんの講演も20日にあります!

 また、霜里農場や小川町の有機農産物を食材にしたレストラン「べりカフェ」が昨年11月に小川町駅から徒歩3分のところにオープンしました。農家と市民(女性が中心です)が一緒に運営にあたっています。農家は「霜里農場」や、「風の丘ファーム」など、シェフは日替わりで料理やお菓子上手な主婦の方達が交代で務めています。水曜だけは近くのニュータウンで蕎麦屋を営むプロで、黒一点。いずれも、小川の野菜をふんだんに使ったメニューばかりです。特に土曜は「霜里農場」担当日で、TKG(たまごかけごはん)セット400円をいただけます。飼料も全て自家製で平飼の鶏の産みたての卵。ご飯、お味噌汁の味噌、具の野菜、お醤油の原料ももちろん霜里農場製です。39年間、コツコツと、つくり続けられてきた"土"から育まれた野菜や卵の滋味をぜひ味わってみて下さい。

 

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                                 小川の美味しい野菜「べりカフェ」

※小川町は池袋から東武東上線で70分です。
※霜里農場 http://www.shimosato-farm.com/
※べりカフェ http://blog.goo.ne.jp/seikatukoubou_1953