雑穀とは、一般的にきび、あわ、ひえといった白米以外の穀物のことをいいます。最近では食材としてすっかり定着しましたね。数種類の雑穀がブレンドされた商品も数多く、雑穀が手軽に試せるようにもなりました。お米に混ぜて炊けば、毎日の主食の栄養価がぐんと増しますね。
日本では昔から雑穀を主食として食べてきましたが、戦後になると白米が一般的になり、雑穀は敬遠される傾向が強まりました。しかしここ数年、生活習慣病がクローズアップされ、「食生活の見直し」を考える人が増えたことで、栄養価の高い雑穀が注目されるようになったのです。
雑穀のいいところは第一に食物繊維が豊富なこと。食物繊維は便秘の解消、血液中のコレステロールを減らすなどの効果があり、様々な病気予防につながります。また雑穀は腸の中でゆっくりと消化されるため、血糖値の上昇を抑えてくれます。白米よりも噛みごたえがあるため、よくかむ習慣も身に付き、満腹感を得やすいのでダイエットにも効果的です。
では主な雑穀の特徴をみてみましょう。
〔きび〕きびは食物繊維のほか、鉄分、カルシウム、マグネシウムが豊富。動脈硬化の予防に効果があります。一般的に使われる「高きび」は、調理するとコクと粘りが出るので、ハンバーグや肉団子などのひき肉に混ぜれば、ヘルシー料理になります。
〔あわ〕ビタミン、ミネラル、鉄分が豊富。マグネシウム、カルシウムも含まれているので骨や歯の発育を手助けしてくれます。上品な甘みがあり、古くからお菓子の材料に使われてきました。
〔ひえ〕日本で最も古くから食べられているといわれる雑穀です。ミネラル・食物繊維が豊富で、食物アレルギーのある人でも比較的安心して食べられます。パサつきやすいですが、白米に混ぜて炊くと食べやすくなります。
〔黒米〕黒米の黒色は、アントシアニンというプリフェノールの一種。活性酸素を除去し、動脈硬化を防ぎます。食感と香ばしさが楽しめ、黒米を白米に混ぜて炊くと赤色になってお赤飯のようです。
〔押し麦〕大麦を蒸気で加熱してローラーでつぶしたものです。食物繊維は白米の20倍。弾力のある食感が魅力で、消化吸収が早い雑穀です。
さて、数ある雑穀の中で私が強くおすすめしたいのが、「アマランサス」。アンデス原産で、1ミリ以下のとても小さな粒です。でも小粒ながら、その栄養価は雑穀の中でもトップクラス。カルシウムは白米の32倍もあり、鉄やマグネシウムは白米の約13倍もあります。さらにビタミンB2や葉酸も豊富。しかも調理がしやすく、プチプチした食感が楽しめます。今回のレシピでは、このアマランサスを使った料理をご紹介しましょう。
レシピ「イカと春菊のアマランサスドレッシングサラダ」
アマランサスは10分ほどゆでれば、すぐに食べられてとてもお手軽。小粒という特性を活かして、ドレッシングにしてみました。具にも絡みやすく、とにかく食感が楽しいのです。今が旬の春菊は葉が柔らかく、サラダにするとえぐみも少なくておいしい。たっぷり作っても、あっという間に食べきってしまいますよ。今回のサラダには茎の部分は使用しませんが、こちらは細かく刻んで味噌汁の薬味にするなど、残さず使ってくださいね。
[材料約 2人前]
春菊...1/2袋
イカ(生食用 やりいか・もんごういかなど)...100g
アマランサス...12g
ゆずの皮...少々
しょうゆ...大さじ1
ごま油...小さじ2
酢...小さじ2
塩...少々
[作り方]
1. 春菊は葉の部分だけ手で摘み取り、冷水で洗いざるに上げておく。イカは薄い短冊切りにする。
2. アマランサスは10分ほどゆでて、茶漉しに開けて水気を切る。
3. 容器(コップ、小さめのボウルなど)にアマランサス、ゆずの皮の千切り、しょうゆ、酢、ごま油を入れて、よく混ぜる。塩で味を調整してドレッシングを作る。
4. 大きめのボウルに春菊の葉とイカを入れ、3のドレッシングを混ぜながら加える。
5. ボウルの中であえる。
(アマランサス)
一粒は1ミリ以下。栄養がたくさん詰まったアマランサス
(春菊)
春菊もカルシウム、鉄分が豊富。アマランサスと相乗効果が期待できます
(茶漉しで水切り)
小さい粒なので茶漉しが便利。わずか10分ほどで火がとおり、透明感が出ます
(ドレッシング)
アマランサスドレッシングの完成。どんなサラダにも合います
(完成)
ほんのり苦味があって味わい深い、栄養たっぷりの冬サラダです