食べることもお酒を飲むことも好きな私は、「飲み過ぎたかな」という翌日の食卓にシジミの味噌汁がたびたび登場します。アツアツのシジミ汁はうまみたっぷりでホッとする味。肝臓にいいことで知られるシジミですが、他にも体にいい成分が豊富とのことなので、調べてみました。
またシジミをおいしく味わっているときに、ジャリッとした砂があると、もう台無し。一気に気落ちして「もう身は食べたくない...」となっていまいます。シジミから出たダシだけでなく、身もおいしく食べるために砂出しのポイントも紹介しましょう。
日本に生息するシジミには、ヤマトシジミ、セタシジミ、マシジミの3種類がありますが、一般に出回っているシジミの99%以上はヤマトシジミです。黒褐色で光沢があり、殻の内側は白色で、淡水と海水の混ざった汽水域の砂泥地に生息しています。島根県の宍道湖、青森の十三湖、千葉県の利根川河口が漁獲地として有名です。このヤマトシジミ、昭和40年代は「獲っても獲っても湧いて出てくる」といわれるほどの漁獲量だったとか。
ところが近年は汽水域の汚染や開発、乱獲などにより著しく減少、最盛期の半分ほどになってしまっているそうで、中国などからの輸入が増えています。そこで現在は様々な資源保護方法が検討され、実施されています。
シジミは良質のタンパク質やビタミンB2、B12、さらに鉄、カルシウム、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルを豊富に含んでいます。特にビタミンB2とビタミンB12の含有量は貝類の中で一番。では「肝臓にいい」といわれているのはなぜでしょう。弱ってしまった肝臓は、良質のたんぱく質で修復されます。そのときビタミンB12が修復、再生を助けます。また亜鉛やビタミンB2もたんぱく質の合成の手助けをします。様々な成分が協力し合って、肝臓の機能を回復してくれるというわけです。
さらにシジミの鉄分は免疫力を高め、粘膜を丈夫にしたり、造血作用もあります。またあさりの2倍もあるカルシウムは、精神安定や骨粗しょう症を予防します。亜鉛はインスリンの構成成分でもあるため、糖分の代謝を活発にしてダイエット効果も期待できます。
シジミのうまみ成分の中心はコハク酸。真水ではなく塩水で砂出しすると、このコハク酸が増えます。さらに砂出しをした後で、一晩冷凍庫に入れると、水分が膨張して細胞組織が壊れ、細胞組織の中に閉じ込められていたコハク酸が出やすくなります。冷凍するといっそうおいしくなるというわけです。調理の際は、凍ったまま加熱するだけでOKです。
ではシジミの砂抜きの方法です。まず1%の濃度の塩水を用意します。平たいざるの下にバットを敷いて、ざるの上にシジミ同士が重ならないように入れます。これではいた砂がバットの上に落ち、再び砂を吸い込むことがありません。そしてシジミの頭が少し出るくらいまで塩水を入れます。これは貝が窒息しないため。暗い環境にすると活発に砂をはくため、新聞紙などをかけるといいですね。冷蔵庫には入れず、室内で3時間から一晩置きましょう。
レシピ「シジミの紹興酒蒸し」
私の好きな台湾屋台料理のひとつに「シジミの紹興酒漬け」があります。生のシジミを紹興酒を使ったタレに漬け込んで、タレを吸ったシジミを食べるというものです。今回はこれをアレンジ。火を通しているので安心なうえ簡単な「紹興酒蒸し」を作ってみましょう。ポイントはシジミを蒸しすぎないこと。蒸している間はシジミから目を離さず、殻が開いてきたシジミから順に、すかさずタレに漬け込みます。こうするとシジミの身がふっくらしたまま、うまみが逃げません。もちろん栄養もしっかり身に残っています。
[材料約 2人前]
シジミ...200g
赤唐辛子(生)...1本
にんにく...1片
しょうが...1片
紹興酒...200ml
しょうゆ...大さじ1
ごま油...小さじ1
香菜...1束
[作り方]
1.砂抜きしたシジミ(本文参照)の殻をこすり合わせるようによく洗う。
2.赤唐辛子は小口切り、にんにく・しょうがはみじん切りにしてボウルに入れる。
3.2のボウルにしょうゆ、ごま油を入れて混ぜ合わせ、漬けダレを作る。
4.フライパンにシジミと紹興酒を入れて中火にかける。
5.殻が開いたシジミから順に漬けダレに入れていく。
6.すべてのシジミを漬けダレに入れたら、フライパンに残った紹興酒も漬けダレに入れ、ひと混ぜする。
7.器に盛って、粗みじん切りした香菜を飾る。
(シジミの砂抜き)
粒が大きめのシジミがおすすめ。バットとざるを重ねて砂抜きをします
(漬けダレ)
赤唐辛子は特に種が辛いので、辛いのが苦手な人は種を取り除いて入れましょう
(シジミをタレに漬け込む)
ひと混ぜすればすぐに食べられますが、この状態で一晩置くとさらに味がしみておいしくなります
(完成)
調味料はシンプルですが、うまみたっぷり。シジミのおいしさが存分に楽しめます