『旅館や民宿の朝食では、これの"開き"が定番。魚へんに参と書く、日本人に最も食べられている魚のひとつといえばナニ!?』...............答えは鯵!! なんと鯵の開きは年間4億枚も食べられているそうですよ。日本人はどれだけ鯵の開きが好きなんでしょう!
一般に鯵といえば「マアジ」のこと。でもアジ科の魚は世界に140種類もいるそうです。日本ではマアジの他に、マアジに比べると長い筒型のムロアジや、高級魚といわれる大型のシマアジもいて、どちらもとてもおいしい魚です。
鯵の旬は梅雨から夏にかけてで、今がまさにおいしい季節。しかも価格も安くなるので、積極的に食べたいですね。自宅で干物にチャレンジするのもいいでしょう。開いたら塩を振り、ふたつのザルの間に入れて、日陰の風通しのいいところで半日干します。これだけでも水分が減って味が凝縮されて、うまみたっぷりの干物ができます。その他、刺身やたたき、煮物や天ぷら、フライ、塩焼き、酢〆、豆鯵は南蛮漬けもおすすめ。たんぱくな魚なので調理法はいろいろあります。食べ飽きないのが魅力の魚ですね。
鯵はタンパク質、脂質が豊富。特に脳を活性化させるといわれているDHA、血管を広げて血管壁を若々しく保ってくれるEPAが豊富です。また血圧やコレステロールを下げ、高血圧や動脈硬化の予防になるタウリンも含まれ、タウリンとEPAの相乗効果で、良質の血液を全身にめぐりやすくし、血行不良による疲れ目や肩こりなどの改善にも効果的です。さらにビタミンB1、カルシウムも含まれ、疲労回復などに効果があります。これらの成分は干物にするとさらに増えるそうですよ。またEPAとDHAをしっかり摂りたいなら、新鮮なものを選び、新鮮なうちに食すのもポイントです。
新鮮な鯵の見分け方はまず、身がしっかりと硬いこと、全体的に丸く、お腹が凹んでいないもの、表面が輝いているものです。また大き過ぎるものよりも小型?中型サイズのほうが、味がしっかりしている場合が多いようです。
さて、冒頭で「魚へんに参」と書きました。例えば背が青いから「魚へんに青」で「鯖」のように、「鯵」にも意味があるに違いないのですが、ちょっとわかりにくいですよね。調べてみると、マアジ漁は旧暦の3月(太陽暦の5月)あたりから始まるということで、「参→三」なのだそうです。また「おいし過ぎて参った」という説もありますが、こちらは定かではありません。私は後者のほうが好きなのですけどね...。
レシピ「洋風なめろう」
マアジを3枚に下ろして、皮を取って腹骨をすき、中骨を抜いて、細かく切ってからネギや青じそ、みょうが、ショウガ、みそを混ぜながらさらに細かくたたいていく料理が、「なめろう」。その名は、お皿に残ったものまで舐めてしまいたいほどおいしいということから付きました。そのまま食べても、表面をあぶってもとてもおいしい。もともとは千葉県の漁師料理だったそうですが、今ではすっかりポピュラーですね。ならば、少しアレンジしなければ...ということで、なめろうを洋風にしてみました。ピクルスとバルサミコ酢の酸味が加わることで、臭みがなくなりさっぱりといただけます。切るだけで火を使わないので、暑い季節にうれしい。簡単だけれど、おもてなし料理にもおすすめですよ。
[材料2人前]
鯵(マアジ 中サイズ)...1尾
きゅうりのピクルス...1?2本
バジルの葉...3?4枚
ミニトマト...3?4個
オリーブオイル...大さじ1
バルサミコ酢...少々
塩・こしょう...適量
[作り方]
1. 鯵は3枚に下ろして腹骨部分を薄く引き、中骨を抜く。包丁を当ててひっぱるようにして皮をひく。
2. ピクルスは細かいみじん切りに、バジルは粗みじん切り、ミニトマトはくし型に切る。
3. 鯵を包丁で切るようにたたき、細かくなってきたら、オリーブオイル大さじ1/2、バルサミコ酢を入れ、味を見ながら塩、こしょうを加え、さらに細かくなるまでたたく。
4. 3をボウルに入れて、ピクルスを加え、スプーンでよく混ぜる。
5. 1/2量ずつ型に入れ、皿に取り出し盛り付けたら、バジルとトマトを飾り、残りのオリーブオイル1/2を回しかける。
(鯵)
魚屋さんで、内臓を取って下処理をしてもらった鯵。ぜいごもとってもらいましょう
(3枚下ろし)
3枚に下ろしをした鯵。苦手な人はここまでを魚屋さんにお願いしてもいいですね
(ピクルス)
長さ6?くらいの小さめなディルピクルス。2本使いました
(鯵とピクルスを混ぜる)
鯵3に対してピクルス1くらいの割合にしてみました。お好みで加減してください。これをよく混ぜます
(完成)
お猪口を型として代用しました。すぐに食べればふんわり、冷蔵庫で少し冷やすと身がしまって食感が変わります。どちらも美味