トマトは夏野菜の代表格。この季節は露地ものが出回り、甘みと酸味のバランスがよくなります。それにしても最近はトマトの品種が増えたと思いませんか。スーパーに行っても様々な種類が並び、どれを選んだらいいかわからない、という人もいるのでは? 私も同じです。今月はトマトの品種を中心にお届けするとしましょう。
果実の大きさによる分類では、大玉、中玉(ミディトマト)、ミニトマトがあります。大玉トマトの果重は200g以上、ミニトマトの果重は20?30g程度で、この中間のものは中玉トマトと呼ばれます。さらに形、色もさまざまです。大玉トマトで一般的なのは、桃太郎とファーストトマト。桃太郎は日本で一番流通されているトマトで、酸味よりも甘みが強く、ゼリー部分が多いのが特徴です。
一方、ファーストトマトは頭の先が尖っているのが特徴で、ゼリー部分が少なくて果実が多く、桃太郎よりも肉質がしっかりとしています。ハウス栽培が中心のため夏にはほとんど出荷されません。桃太郎、ファーストトマトともサラダやそのまま食べるのに適した品種です。大玉トマトで瓜型をしているのは、イタリアが原産のサンマルツァーノと呼ばれるトマト。市販のトマト水煮缶詰やドライトマトはこの種類を使用していることが多いようです。水分が少なく生で食べると味が薄いと感じますが、加熱をすると甘み・酸味・うまみがぐっと増すため、調理して食べるのがおすすめです。
では、ちょっと珍しいトマトも紹介しましょう。最近よく見かけるマイクロトマトは、ミニトマトの中でも豆粒サイズの小ささ。枝付きで販売されていることもあり、料理の彩りになります。色で変わっているのはブラックトマト。ロシアが原産の黒いトマトです。甘みや酸味は少ないですが、意外に癖がなくてマイルドだとか。生でも火を通してもおいしいそうです。完熟しても緑のままなのはグリーントマト。歯ごたえがあり、すっきりとした味が特徴です。
さて、一般にフルーツトマトというのは、品種の名前ではありません。糖度が普通のトマトよりも高く、フルーティなおいしさのトマトのことで、デザートにうってつけ。また塩トマトも品種の名前ではありません。土の塩分濃度が高い土地で、極力水を与えずに栽培されたトマトのことをいいます。決してしょっぱいわけではなく、糖度が果物のように高いので、こちらもぜひデザートで。
トマトの栄養で注目されているのはリコピン。カロチノイドという赤い色素で、強い抗酸化作用があり、ガンや生活習慣病の予防に効果的です。リコピンは完熟するほど増え、しかも生食よりも油で加熱すると吸収力がアップします。その他、トマトはビタミン類も豊富です。ただし夏野菜のトマトは身体を冷やす作用がありますので、特に冷え性の人は食べ過ぎに注意です。
レシピ「トマト飴」
ケーキやゼリーなどトマトを使ったスイーツを最近よく目にしますね。その元祖はトマト飴かも!? というのも、まだ日本でトマトスイーツが一般的になる前、台湾の夜市の屋台で串に刺さったトマト飴を発見。りんご飴なら日本にもあるけれど、なぜトマト? 私は拒否反応でしたが、同行者が「試しに食べてみたい」というので興味半分で1串購入。歩きながら1個だけ食べてみたら...「おいしい!!!」すぐに引き返して、もう1本買ってしまいました。だまされたと思ってぜひ作ってみてください。残りの夏休み、ぜひお子さんと一緒にどうぞ。
[材料5串分]
ミニトマト...15個
グラニュー糖...150g
水...10ml
[作り方]
1.ミニトマトは洗ってヘタを取る。
2.3個ずつ竹串に刺し、水気をよくふき取る。
3.小さめのフライパンにグラニュー糖と水を入れて弱火にかけて煮る。
4.泡だって煮詰まり、少し色づいてきたら火からはずす。
5.素早くスプーンなどでミニトマトにからめて、クッキングシートまたは氷の上などで冷やす。
(ミニトマト)
ミニトマトは普通の大玉トマトよりも栄養成分が多いそうです。この料理ならお子さんも喜んで食べられそうですね
(串に刺す)
皮が割れないように串を回しながらゆっくり刺しましょう。少しくらい割れてしまっても大丈夫
(飴をからめる)
スプーンでからめれば簡単。やけどに注意ですよ
(完成)
屋台を意識して板氷の上に乗せてみました。涼しげですね。飴がパリッとなれぱ理想的ですが、トロッとしてしまってもおいしいですよ