日本の伝統的なお惣菜のほとんどに入っていると言っても言い過ぎじゃないほど、出番の多いしいたけ。そういえば、最近私のまわりにしいたけを自宅で栽培する人が増えています。手軽に育てられるキットも人気だとか。お子さんのいるご家庭では食育にもなっていることでしょう。
日本でしいたけの栽培が始まったのは江戸時代の頃といわれています。当時はシイやクヌギなど広葉樹の原木に傷をつけ、そこに胞子が自然につくのを待つという、季節が限られているうえ根気のいる栽培方法でした。現在の栽培方法は、大別すると菌床栽培と原木栽培の2種類。菌床栽培はおが屑などを固めたものに菌を植えつけ、ハウスなどで育てます。一年中栽培でき、主に生しいたけとして生産されています。
一方、原木栽培はシイやクヌギの木を伐採して枯らし、木に穴を開け、しいたけ菌を培養した種駒という木片を埋め込んで菌を育てます。こちらは主に乾しいたけになるようです。
中国の明時代の書物「食物摘要大全」に、「しいたけは気を益し、飢えず、風(風邪)を治し、血を破る」と書かれているように、古くから不老長寿の妙薬とされ、珍重されてきました。
低カロリーでありながら栄養豊富。生活習慣病が気になる現代人には最適な食材です。しいたけに含まれるエリタデニンという成分は、血液中のコレステロールを下げる効果と血圧を下げる効果があります。動脈硬化、高血圧の予防になります。またしいたけに含まれるレンチナンという成分には、抗腫瘍効果があると認められていて、実際に抗悪性腫瘍剤として使用されているそうです。さらにしいたけに含まれるエルゴステロールという成分は、紫外線を受けるとビタミンDに変わるという性質があります。ですから生しいたけよりも乾しいたけのほうがビタミンDは豊富。
ビタミンDには、カルシウムの吸収を助ける働きがあり、カルシウムの多い食品をしいたけと一緒に摂れば、骨粗しょう症の予防になります。高齢の方だけでなく、成長期のお子さんや妊婦さんにも摂ってもらいたい栄養素です。生しいたけを使う場合でも、調理する30分前に、かさの裏のひだの部分を日に当てることでビタミンDを増やすことができます。ちょっとの手間が健康の手助けになるのですね。
見逃せないのが乾しいたけの戻し汁。しいたけの有効成分がたくさん溶け出していますので、高血圧などの予防になるそうです。一度にたくさん飲まず、少しずつ毎日続けるのが効果的だとか。そんなに面倒なことではありませんよね。薬に頼らず身体を正常にしていきたい方、ぜひ続けて飲んでみてください。
レシピ「しいたけと帆立のチャーハン」
乾しいたけの戻し汁と、帆立水煮缶詰の漬け汁の「ダブルだし」を使って、うまみたっぷりの香ばしいチャーハンを作ります。乾しいたけは保存がきいて便利。もどす際には、甘みが増すため冷たい水がおすすめです。流水でほこりや汚れを洗ったら、約3?5時間、水に浸します。もしも急いでいる場合は、そのままレンジで3分間加熱を。そのまま冷ませば短時間でもどります。
[材料2人前]
乾しいたけ...大きければ3枚、小さければ4枚
帆立水煮缶...身の部分のみで40g
青梗菜...茎の部分のみ1株分
卵...2個
ごはん...280g
しょうゆ...大さじ1/2
乾しいたけの戻し汁...大さじ1/2
帆立水煮缶の漬け汁...大さじ1/2
サラダ油...大さじ1
塩・こしょう...少々
[作り方]
1.乾しいたけをもどし、軽く絞ってから粗みじん切りにする。青梗菜は茎の間をていねいに洗い、粗みじん切りにする。ごはんは炊き立てか、冷や飯の場合はレンジで温めておく。
2.容器にしょうゆと乾しいたけの戻し汁、帆立水煮缶の漬け汁を混ぜ、合わせダシを作る。
3.フライパンにサラダ油を熱し、煙が出てきたら溶いた卵を流し入れ、軽く炒めたら火が通りきる前にごはんを入れて、お玉の底で軽くたたきながら炒める。
4.しいたけ、帆立の水煮、青梗菜を入れて炒め合わせ、ごはんがパラパラになったら、2の合わせダシを鍋肌から注ぎ入れて、さらに炒め合わせる。
5.塩・こしょうで調味する。
(乾しいたけ)
乾しいたけにはかさが閉じている状態で肉厚な「どんこ」と、かさが開いた水ですぐに戻る「香信」の2種類があります。今回は香信を使いました
(カットした材料)
しいたけは軸の部分も先だけ切り取って、粗みじん切りにして一緒に使いましょう。青梗菜の葉は、残った乾しいたけの戻し汁とともに汁物にするのもいいですね
( 合わせダシ)
この液体が魔法のダシ。このチャーハンのうまみの決め手です
(卵→ごはんを入れて炒める)
ごはん一粒一粒に卵がコーティングされるように炒めます。これがパラパラチャーハンのポイント!
(鍋肌から合わせダシを注ぐ)
鍋肌から注ぐと合わせダシがいっそう香ばしくなりますよ
(完成)
しいたけのおいしさが伝わってくるチャーハンです