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2010年10月アーカイブ

今月のクローズアップ食材「胡麻」

takahashi2.jpg   我が家では毎朝小さじ半分くらいのすり胡麻をヨーグルトに入れて食べています。人間だけでなく愛犬も! その理由は全員がアレルギー体質(犬も)で 、胡麻が効くと聞いたから。7年の習慣で、いまのところ大きな改善はなかなかみられませんが、少しずつよくなっていくことを願って続けています。胡麻がなぜアレルギーに効くのか、この機会に調べてみると「セサミン」という成分であることがわかりました。しかもこのセサミン、他にもたくさんの効能があったのです! 
ゴマに多く含まれる成分にリグナン類という抗酸化物質があります。胡麻以外の植物にも含まれますが、胡麻は極めて多く、このゴマリグナンの中で最も多い成分が、セサミン。セサミンの強い抗酸化作用はそのものにはなく、動物の体内に入ると抗酸化作用を示すようになるそうです。

   セサミンは血液中のコレステロールの上昇を抑える作用があります。食事から摂取されたコレステロールは通常小腸で吸収されますが、セサミンはこれを阻害し、コレステロールが便と一緒に排泄されるように手助けをします。しかもコレステロール以外の体に必要な脂肪の吸収は妨げないというのは驚きです。またセサミンは、実験で血圧を下げる作用があることが実証されていて、血圧が気になる人にもおすすめです。さらに肝臓の機能も高めてくれるので、お酒を好む人も積極的に摂った方がいいですね。そして最後はセサミンのアレルギーを抑制する効果。アラキドン酸という脂肪酸は体の機能を保つためにかかせないものですが、体内にアラキドン酸が増え過ぎると、動脈硬化、高血圧、慢性の炎症、アレルギー性湿疹、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患などを起こしやすくなります。セサミンにはこのアラキドン酸の生成を阻害する働きがあるのです。

   ところで胡麻には白と黒がありますが、どちらのほうが栄養があるのでしょう。栄養分析値では個体差はあるものの、どちらも数値はほとんど変わりません。ただし白に比べて黒は油分が少なく、胡麻油の原料は一般に白胡麻です。また、黒胡麻の表皮にはタンニン系(ポリフェノールの一種)と考えられる成分があり、白胡麻よりも抗酸化作用に優れている可能性があるともいわれています。

   胡麻の栄養をしっかりと吸収したいなら、すり胡麻か切り胡麻にして食べましょう。胡麻は粒が小さいので噛み砕きにくく、消化されないまま排泄されてしまうことが多いからです。またすった胡麻のほうがうまみも感じやすくなります。ついでといってはなんですが、相手にへつらってお世辞を言う「ごますり」の語源はご存知ですか。胡麻をすり鉢ですると、はじめはサラサラしていた胡麻がつぶれて、ベタベタと鉢に張り付いていきます。これが人間社会のあちらこちらについて、自分の利益のために、相手にへつらい機嫌をとることをいうようになったそうです。なるほど!

                                    

                                    レシピ「黒胡麻と黒糖の真っ黒ヌガー」

   クッキーやだんご、プリンなど、スイーツでも大活躍の胡麻。今回は胡麻がたっぷり摂れるヌガーを作ってみましょう。黒糖ベースなのでコクと食べ応えあり。胡麻は前述の通り、すったほうが栄養を吸収できるのですって使いましょう。胡麻の粒が半分くらい残っている程度のすり加減にすれば、プチッとした食感も加わっておいしいですよ。

[材料2人前]
黒胡麻...80g
黒糖(粉末)...100g
はちみつ...大さじ2
牛乳...大さじ2
塩少々

[作り方]
1. 黒胡麻はフライパンに入れて弱火で香ばしく炒ってから、すり鉢でする。
2. 小鍋に黒糖、はちみつ、牛乳、塩を入れ弱火にかけ、底からすくうように混ぜながら溶かす。気泡が出てきたら1の黒胡麻を入れて混ぜ、火を止める。
3. クッキングシートに2を広げて、180℃のオーブンで8分焼く。
4. 粗熱が取れたら完全に固まる前に4?角くらいに切り分ける。
5. 冷蔵庫で冷やし固める。

 

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                                                         (黒胡麻)
                             できれば有機栽培の、安心な胡麻を使いたいですね

 

 

101018_2.JPG                                                        (胡麻をする)
                   炒り胡麻であっても、必ず炒ってからすりましょう。香ばしさが違います

 

 

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                                                        (黒糖他を溶かす)
                                      弱火で混ぜながらこがさないように注意

 

 

101018_4.JPG                                                         (天板に広げる)
                                           焼けば黒糖と胡麻がよくなじみます

 

 

 101018_5.JPG                                                               (完成)
    完全に冷やさなくても食べられますが、手にくっついてしまうのが難。冷やしても柔らかですよ

oowada.jpg  今年も新米の季節になりましたね。九州など早い地域では8月末から稲刈りが行われますが、今年は猛暑だったこともあり、いつもより稲刈りが早かった地域が多かったと聞いています。私も10月2日に稲刈りに行ってきました。

  今年はどこの新米を食べましたか? 親戚から届いた。近くの直売所で買った。中には自分で作っているという方もいらっしゃるかもしれませんね。
そして、お米を買う時どんな基準で選んでいますか? 産地、品種、やっぱり価格も重要ですよね。

◆ 中山間地域の農業を応援
  私はここ数年、福島県西会津町で作られているお米を年間まとめて申し込み、毎月宅配で直送してもらっています。あと足りない分を、各地に出張した際などに買っています。西会津のお米は知人のキノコ農家の80代のお父さんが作っているコシヒカリで、その田んぼは山の中腹にあり、その上には田んぼも人家もありません。ですからその田んぼの水は飯豊連峰の伏流水で生活排水が一切入らないものです。農薬は減農薬ですが、中山間地域の農業を少しでもサポートしたくて購入しています。味もとっても良くて食欲が進んで困るほどです。

 

101013_1.JPG                                                  爺ちゃんとコシヒカリ

 

◆生きもの共生米
  出張先で購入するお米は、農法や地域づくりに共感して選んでいます。
例えば兵庫県豊岡市。以前、このコラムでも紹介しましたが、1971年に一回絶滅したコウノトリを復活させようと、地域の人たちが一丸となって取り組み「コウノトリ育む農法」が導入されコウノトリは34年ぶりに復活しました。今では豊岡市には約40羽のコウノトリが棲み、上空を舞っています。この農法で作られたお米です。

※コウノトリ復活の物語 http://www.469ma.jp/health/2010/06/21.html

 

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                                                   人工の巣塔で子育ても

  また、宮城県大崎市の「ふゆみずたんぼ米」も応援しています。こちらは豊岡市の先輩で、冬に田んぼに水を張る(冬期湛水:とうきたんすい)農法です。なぜ冬にも田んぼに水を入れるのか。渡り鳥のエサ場とするためなんです。大崎市の田尻地区には蕪栗沼(かぶくりぬま)というラムサール条約に登録された湿地があります。ここに毎年10万羽を超える渡り鳥がやってきます。蕪栗沼だけでは狭いので、周辺の田んぼが冬場に水が張られて湿地代わりとなり、渡り鳥のエサ場となるわけです。


          

101013_3.jpg                                                 日の出前、一斉に飛び立つ

 

◆耕作放棄地を開墾した田んぼ
  そして、今年は自分で開墾した田んぼのお米も買います。山梨県北杜市増富という地区は限界集落です。過疎・高齢化が進み農地の2/3が耕作放棄地です。そこをNPOえがおつなげてが都市住民や企業と協力して開墾し、棚田や畑を復活させています。私も昨年11月に開かれた開墾ツアーに参加しました。10数年ぶりに復活した田んぼに稲が植えられ、たわわに実りました。今年の稲刈りはここで体験しました。このお米の美味はまた格別です!

 

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            101013_5.jpg                           

 

 

 

 

 

 

 

左:開墾中 右:10数年ぶりに田んぼが復活


   ところで、こうしたお米の価格ですが、農法や品種だけでなく、農家にいくら支払われるのかについても確認します。個人的には1kg400円以上であるかどうかを基準にしています。1俵(60kg)で18,000円が再生産可能な価格(農家にとって赤字ではない価格)だそうですが、400円であれば農家の手取りは1俵24,000円になります。これに送料や精米代などが加わるので購入価格としては1kg500円?600円位の物を選んでいます。スーパーや百貨店では買いません。なぜならマージンを相当とっているからです。

  あなたは、どんなお米をどんな理由で選んでいますか?