今年も新米の季節になりましたね。九州など早い地域では8月末から稲刈りが行われますが、今年は猛暑だったこともあり、いつもより稲刈りが早かった地域が多かったと聞いています。私も10月2日に稲刈りに行ってきました。
今年はどこの新米を食べましたか? 親戚から届いた。近くの直売所で買った。中には自分で作っているという方もいらっしゃるかもしれませんね。
そして、お米を買う時どんな基準で選んでいますか? 産地、品種、やっぱり価格も重要ですよね。
◆ 中山間地域の農業を応援
私はここ数年、福島県西会津町で作られているお米を年間まとめて申し込み、毎月宅配で直送してもらっています。あと足りない分を、各地に出張した際などに買っています。西会津のお米は知人のキノコ農家の80代のお父さんが作っているコシヒカリで、その田んぼは山の中腹にあり、その上には田んぼも人家もありません。ですからその田んぼの水は飯豊連峰の伏流水で生活排水が一切入らないものです。農薬は減農薬ですが、中山間地域の農業を少しでもサポートしたくて購入しています。味もとっても良くて食欲が進んで困るほどです。
爺ちゃんとコシヒカリ
◆生きもの共生米
出張先で購入するお米は、農法や地域づくりに共感して選んでいます。
例えば兵庫県豊岡市。以前、このコラムでも紹介しましたが、1971年に一回絶滅したコウノトリを復活させようと、地域の人たちが一丸となって取り組み「コウノトリ育む農法」が導入されコウノトリは34年ぶりに復活しました。今では豊岡市には約40羽のコウノトリが棲み、上空を舞っています。この農法で作られたお米です。
※コウノトリ復活の物語 http://www.469ma.jp/health/2010/06/21.html
人工の巣塔で子育ても
また、宮城県大崎市の「ふゆみずたんぼ米」も応援しています。こちらは豊岡市の先輩で、冬に田んぼに水を張る(冬期湛水:とうきたんすい)農法です。なぜ冬にも田んぼに水を入れるのか。渡り鳥のエサ場とするためなんです。大崎市の田尻地区には蕪栗沼(かぶくりぬま)というラムサール条約に登録された湿地があります。ここに毎年10万羽を超える渡り鳥がやってきます。蕪栗沼だけでは狭いので、周辺の田んぼが冬場に水が張られて湿地代わりとなり、渡り鳥のエサ場となるわけです。
日の出前、一斉に飛び立つ
◆耕作放棄地を開墾した田んぼ
そして、今年は自分で開墾した田んぼのお米も買います。山梨県北杜市増富という地区は限界集落です。過疎・高齢化が進み農地の2/3が耕作放棄地です。そこをNPOえがおつなげてが都市住民や企業と協力して開墾し、棚田や畑を復活させています。私も昨年11月に開かれた開墾ツアーに参加しました。10数年ぶりに復活した田んぼに稲が植えられ、たわわに実りました。今年の稲刈りはここで体験しました。このお米の美味はまた格別です!
左:開墾中 右:10数年ぶりに田んぼが復活
ところで、こうしたお米の価格ですが、農法や品種だけでなく、農家にいくら支払われるのかについても確認します。個人的には1kg400円以上であるかどうかを基準にしています。1俵(60kg)で18,000円が再生産可能な価格(農家にとって赤字ではない価格)だそうですが、400円であれば農家の手取りは1俵24,000円になります。これに送料や精米代などが加わるので購入価格としては1kg500円?600円位の物を選んでいます。スーパーや百貨店では買いません。なぜならマージンを相当とっているからです。
あなたは、どんなお米をどんな理由で選んでいますか?