10月24日、小田原で開かれた「第3回ローカルサミット」の報告会に参加しました。ローカルサミットは2008年北海道の十勝で第1回目が、昨年は愛媛県の宇和島で開かれたイベントで、地域の魅力を再発見し、地域を元気にしていこうという取り組みです。今年のテーマは「小田原・箱根・こゆるぎから始まるいのち蘇るまちづくり」でした。
全国から地域活性化に取り組む農林漁業者、商工金融事業者、研究者、自治体職員、官僚、NPOなど、多彩な"志民"が一堂に会し、オープニングセッション、フィールドワークおよび長時間のディスカッションや交流会を二泊三日にわたって行いました。
※第3回ローカルサミット http://www.local-summit.com/
三日目の「まとめのセッション」の開催場所にまず驚きました。小田原駅地下商店街跡地なのです。この駅地下商店街は3年前に閉店し、駅前の一等地であるにもかかわらずシャッター街になっています。普段は通路としてのみ使われている閑散とした場所なのだそうです。そこが、今日は30余りの地産地消マルシェと、200席を超えるイスが並べられフォーラム会場になっています。参加者の年齢は60歳前後とお見受けする方が中心でしたが、熱気と活気に満ちています。
野中さんと、事務総長の吉澤さん
つまり、そのご当地に惚れ、地域を元気にする活動に熱くなっている人たちの集団というわけです。会場には哲学者の内山節さんや、名著『森は海の恋人』の著者で牡蠣を育てている畠山 重篤さんなどの姿もありました。
※ 内山節さんオフィシャルサイト http://uthp.net/index.htm
※ NPO法人森は海の恋人 http://www.mori-umi.org/index.html
分科会は11もあり、ものづくり、農林水産、食、金融、医療・健康・介護などからアジアまでと多岐にわたっています。いずれも、新しい物差しと、小田原だからこそできることという軸でディスカッションした内容をまとめ、報告されました。新しい物差しとは、従来のGDPとか、売上高、偏差値、生産高などに代わる、いのちやつながりを大切にする価値観や尺度です。
中でも「いのち巡る「環境」」分科会の報告が印象的でした。小田原では昭和29年に57万本取れたブリが今年は290本しか取れない。その原因は、森からのラブレターが届かなくなったからだというのです。海と森の関係は、森が荒れ、森が貧弱になり、それに比例して川や海が貧弱になっていくという構図です。
そこで、新しい物差しとして、「森里海」の連鎖や、心と身体を強くする自然体験などが、小田原ならできることとして、海、山が近い立地を活かした取り組みがすぐにでも始められると提案されました。川の上流、中流、下流が共に活動し、豊かな流域を回復していくという考え方です。
「ローカルサミット」来年の開催地は富山県の南砺市(なんとし)です。南砺市には昔ながらの農村風景が残っているそうです。ちょうど、11月中旬に別のフォーラムに南砺市を訪ねることになっているので、その報告は次回に。
さて、ランチはその地下街で開かれているマルシェで購入したちらし寿司とキノコ汁をいただきました。海も山もある小田原ならではの美味。そして、マルシェに出店していた創業140年近い「ちん里う(ちんりう)」で梅干しも買いました。小田原といえば梅も有名。10粒で850円と安くはありませんが、曽我梅林で育てられた十郎梅を三年寝かした梅干し。塩のみで漬けているもので、新米と一緒に食べるのが楽しみです。
駅地下シャッター街に2日間だけ賑わいが
地域の自然や特産物、美味、歴史、文化、いずれも地域ならではの財産ですね。そして何よりの財産はやはり人ですね。地域を元気にしたいと活動している人と出会い、応援していきたいものです。これからも私は各地の宝探しを続けていきます。