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第28回根のある暮らし  "アグリ・コミュニティビジネス"で幸せな地域社会をつくる

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1月末に『アグリ・コミュニティビジネス―農山村力×交流力でつむぐ、幸せな社会』(学芸出版社)という本を出版します。この3年間に訪問した各地の農山村での取り組みから選りすぐりのものを紹介させていただきました。選んだ基準は、まずはその話をお聞きして、私自身が感動したこと。そして、現地に行き、地域の人達がいかに地域を豊かに元気にしようと、皆で協力して成果を挙げているか拝見したことでした。また、そこには、地元の人だけではなく、その取り組みに共感・感動した都市の人達も関わって応援していることが少なくありませんでした。

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写真:本の表紙

都市に暮らす人の目線で農山村を見ると、魅力的だと思うモノやコトが次々に発見できます。地元の人にとっては、あたりまえのことが、都市の人にとっては、感激で素晴らしものということが少なくありません。このコーナーでもご紹介いたしましたが、兵庫県豊岡市のコウノトリ野生復帰の物語、埼玉県小川町の有機の里づくり、山梨県北杜市須玉町増富という限界集落の再生・・・ いずれも特定の団体や個人が自身のお金儲けや名声といった"利己"のために取り組んでいるのではなく、地域のため、自分達が住み、住み続けていく地域を良くしていこうという"利他"の意識が原動力になっています。また、農家、市民、商工業者、自治体、NPO、大学など様々な人が、様々な関わり方をしていることも特徴です。

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10数年ぶりに蘇った田んぼ(増富)

昨年は、私の回りでも企業勤めを辞め、半農半X(自給的農業をしながら、自分のスキルを活かして農山村で暮らす人)生活を始める人が目立ちました。50歳目前に、故郷の80代の両親の元に帰り、みかん農家を始めた元マーケティング・コンサルタント男性。人材研修会社を辞めて、自らの住居を農村部に移し農業を始めつつ、「アースカラー」という会社を興し、半農半X人材を育成する事業を始めた31歳の男性など。

彼らは、まずは自分自身が農家として、あるいは自給的にせよ農作物がちゃんと作れるようになるのが第一歩です。しかし同時並行的に、地域の資源(景観、自然、人、暮らしの技など)をリサーチし、自身の農産物も含め、コミュニティビジネスを始める準備も行っています。

コミュニティビジネスとは、地域の資源を活かしながら地域課題の解決をビジネスの手法で取り組むものです。日本でもここ10年ほど注目され、広がってきています。地域の人材やノウハウ、施設、資金を活用することにより、地域に新たな産業や雇用を創り出し、働きがい、生きがいを生み出し、地域コミュニティの活性化につながるものです。

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地元の旬の食材が健康の源(石見銀山・他郷阿部家)

"アグリ・コミュニティビジネス"とは、こうした農山村の魅力と、都市と農山村の人達の交流をかけあわせ、地域を豊かにしていこうというコンセプトです。都会の食や水を支えている農山村の資源に感謝し、知恵に学び、一方で都会の購買力で地域の農林業を支える。途切れてしまっている都市と農山村の"絆"をむすびなおすことでもあります。自分が食べるものや、飲んでいる水はどこから来ているのか、どのような人達がどのような農法で作っているのか、どのような森がその水を育んでいるのか、今年は"源流"地域を訪問してみませんか。