ニラの旬ってご存知ですか? 年中食べることができるため、意外に知られていないのではないでしょうか。実は、冬から春にかけて出回る「冬ニラ」は葉肉が厚く柔らかで、おいしいのです。今月は今が旬のニラを取り上げてみます。
ニラの原産地は中国で、ニラは英語でChinese chiveといいます。西アジアからインド、東南アジア、東アジア、シベリアにかけて分布し、日本でも古くから自生していたといわれています。ところがヨーロッパでは現在でもほとんど栽培されていないとか。ニラは暑さにも寒さにも強く、栽培しやすい野菜というのに、これはちょっと驚きですね。日本では、古事記や日本書紀にもニラの記述があり、古事記では「美良(かみら)」、万葉集には「久々美良(くくみら)」の名で掲載されています。この「みら」がなまって、「ニラ」になったという説が有力だそうです。
ニラはβ-カロテンが多く、またビタミンB1・B2・Eも豊富に含む緑黄色野菜。ニラの強いにおいの元は、ネギやタマネギにもある硫化アリルという物質で、ビタミンB1の吸収を助けるため、新陳代謝を促したり、疲労回復、食欲増進、風邪予防にも効果があります。
また硫化アリルは、肉や魚の生臭みをやわらげる働きもあります。ところでニラ料理でポピュラーな料理のひとついえば「レバニラ炒め」ではないでしょうか。このレバーとニラの組み合わせには、ふたつの大きな意味があります。まず、硫化アリルがレバー独特の臭みを取ってくれること。そしてレバーの栄養ビタミンB1が吸収されやすくなるのです。そんなわけでレバニラ炒めは、非常に利にかなった料理なのですね! さらにニラは身体を温める野菜なので、体が冷えやすいこの時期に特にオススメですよ。
さて、ニラにも種類があります。最も一般的なニラは「青ニラ」。近年人気が高まっているのはつぼみと茎を食用にする「花ニラ」です。青ニラよりくせがなく、甘みもあり歯ごたえも楽しめるので、油炒めがオススメです。中国料理でよく使われている「黄ニラ」は別名「にらもやし」。品種は青ニラと一緒ですが、光を遮って育てる軟化栽培でつくられるため、黄色くなるのです。ほのかに甘く、香りは青ニラのように強くはなくて上品なおいしさ。炒め物やお浸し、スープなどに適しています。
我が家では、ニラは常備野菜。納豆にネギを入れるように、ニラをさっと湯がいて細かく刻んで納豆に混ぜて「ニラ納豆」にします。これが簡単なのに、とてもおいしいのです。ただし匂いが強いので、朝ごはんというよりも晩ごはん向き。ニラが柔らかくおいしいこの時期は、登場回数が増えそうです。
レシピ「ニラとイカのチヂミ」
手軽に作れる韓国料理といえばチヂミ。チヂミとは魚介、肉、野菜などを小麦粉で溶いて焼いたもの。韓国語の「焼く(チヂダ)」という動?詞の名詞形で、日本語だと「お焼き」という感じでしょうか。チヂミという言い方は日本では一般的ですが、韓国では方言のひとつで、標準語では「?プチムゲ」と呼ばれるそうです。一見、お好み焼きに似ていますが、じゃがいもをすりおろして入れることで、表面はパリッ、中はモチモチの生地になります。タレを辛くしなければ、お子さんも喜んで食べてくれるはず。ニラがたっぷり食べられる料理ですよ。
[材料1枚分]
小麦粉...80g
じゃがいも...中1個
卵...1個
水...100ml
塩・こしょう...少々
しょうゆ...小さじ1
ニラ...1/2束
いか...60g
ごま油...大さじ1 1/2
〔タレ用〕
しょうゆ...大さじ2
酢...大さじ1
赤唐辛子粉...適量
白ごま...少々
[作り方]
1. ニラは洗って6?くらいの長さに切る。イカは細切りにする。じゃがいもは皮をむいてすりおろす。
2.ボウルに小麦粉、すりおろしたじゃがいも、卵、水、塩、こしょう、しょうゆを入れて混ぜる。ニラとイカを加えて混ぜる。
3. タレ用の材料を混ぜ、小皿に分ける。
4. フライパンにごま油大さじ1を入れて中火で熱し、生地を入れて丸く薄く広げる。
5. 約3分焼いて裏面に焼き色がついたらひっくり返し、フライパンの鍋肌にごま油大さじ1/2を回しかける。
6. さらに3分くらい焼いて、再度ひっくり返して、両面をパリッと焼く。
7. カットして皿に盛り付け、タレを添える。
根に近い少し硬い部分は栄養価も高く甘みがあるので、切り口の先のほうだけを切り取って使いましょう
じゃがいものすりおろしが、このチヂミのポイント。欠かせませんよ
具材がたっぷり。エビや貝類もおすすめです
さっぱりとしたタレにつけて、温かいうちにいただきましょう