火を入れるとパッときれいなグリーンになる野菜は、料理をしていて楽しいですよね。アスパラガスもそんな野菜のひとつ。この時期は太くて、爽やかな甘みのある国内産が出回ります。3月から九州産、5月になると長野産や福島産、そして6月下旬頃からは北海道産とアスパラガス前線は北上していきます。
アスパラガスが日本に入ってきたのは江戸時代のこと。当時は野菜ではなく観賞用として栽培されていたそうです。明治時代から食用に利用され、昭和に入ってからは一般の食卓に登場するようになったという比較的新しい野菜ですね。
ところで、この4月から新生活が始まったというみなさん、1ヶ月が過ぎて疲れがたまってきていませんか? 実はこのアスパラガス、そんな人にピッタリの野菜なんです。それはアスパラギン酸の効果。アスパラギン酸といえば栄養ドリンクなどでご存知の方もいるのではないでしょうか。その名からわかるように、アスパラガスから発見された成分。アスパラギン酸は、アスパラギン酸アミノフェラーゼという酵素の働きでできるアミノ酸のことで、エネルギーや窒素の代謝を高めるマグネシウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルをスムーズに体内に運ぶ作用があります。この作用が体の活力を増し、素早い疲労回復を促すというわけです。スポーツ選手がアスパラギン酸を摂取すると、スタミナが増すことがわかっており、アスパラギン酸入りの栄養ドリンクも、この効果を狙っているのです。アスパラガスの生長が早いのも、芽の部分にこのアスパラギン酸を多量に含んでいるからともいわれています。
また、尿の合成促進もアスパラギン酸のもつ重要な働きのひとつ。通常、アンモニアは体の中で循環器系に入ると中枢神経に悪影響を及ぼします。ところがアスパラギン酸が尿の合成を促進することで、アンモニアの体外への排出を促し、中枢神経を守るのに役立っているのです。アスパラギン酸は熱に弱いため、しっかり摂りたいなら、調理の際には加熱し過ぎないよう注意しましょう
グリーンアスパラガスにはアスパラギン酸のほか、β-カロテン、ビタミンB1、B2、C、Eなども多く含んでいます。アスパラガスにはグリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスがありますが、これはまったく同じ品種。ホワイトアスパラガスは発芽後すぐに盛り土をして、日光に当てずに育てるため白いのです。そのためホワイトアスパラガスは、グリーンアスパラガスに比べると栄養価は低いのですが、他の野菜にはない独特のクリーミィな食感が楽しめます。見かけたらぜひシンプルな調理法で、試してみてくださいね。
レシピ「2色アスパラガスのスパニッシュオムレツ」
日本ではスパニッシュオムレツとかスペイン風オムレツなどと呼ばれている料理ですが、スペインでの正式な名前はトルティージャ。スペインの国民食といわれるほどポピュラーな料理です。調味料には塩と胡椒しか使わないのに、「なに入れたの?」と思うほど味わい深いのはたっぷり使ったオリーブオイルの効果。オリーブオイルが調味料になっているのですね。ただしその分カロリーが高めなので、食べ過ぎ注意。ふだんは玉ねぎとじゃがいもで作っていますが、今回は旬のグリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスを使って作ってみました。
[材料2-3人分]
卵...2個
グリーンアスパラガス... 3本
ホワイトアスパラガス...3本
じゃがいも...1個
オリーブオイル...大さじ4
塩...小さじ1/3
白こしょう...少々
[作り方]
1. グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスは根元の固い部分を切り落とし、斜め薄切りにする。じゃがいもは皮をむいてから、薄切りにする。
2. 小さめの(15センチ-17センチくらいがベスト)フライパンにオリーブオイルを中火で熱し、じゃがいもを入れ、軽く混ぜながら揚げるように炒めて、柔らかくなってきたらアスパラガスを入れる。塩・白こしょう少々(分量外)を入れてさっと炒め合わせ、オリーブオイルを残して具だけボウルに取り出して余熱をとる。
3. 2のボウルに卵と塩、白こしょうを入れてよく混ぜておく。オリーブオイルの入ったフライパンを再び中火で熱し、ボウルの中身を入れて軽く混ぜ、ふたをして蒸し焼きにする。
4. 卵のふちが茶色くなってきたら、皿をかぶせてひっくり返し、フライパンに戻して裏面も焼く。この作業を2-3回繰り返す。
5. 両面にしっかりと焼き色がついたら皿に盛り付け、切り分ける。
旬のアスパラガスは甘くて、香りもしっかり!
アスパラガスはちょっと厚めでもOK。じゃがいもは2ミリくらいの薄めに
切ってください
具だけ取り出した後のオリーブオイルが、いい仕事をしてくれるんです
焼き色はこのくらいつけて。表面がさっくりしておいしいですよ