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2011年7月アーカイブ

第34回根のある暮らし 森へ行こう

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 今年は国際森林年ですね。日本の国土の67%は森林。森は水や土が育まれるところ。豊かな森は、豊かな川、田畑、そして漁場へとつながっています。私たち日本人は、森によって生かされ、癒されてきました。そんな森の恵みを活かして仕事をしてきたお一人がオークヴィレッジ代表の稲本正さんです。

 

100年使えるモノを

「オークヴィレッジ」の稲本正さんが東京を離れ飛騨高山に移住し、家具工房を開設したのは1974年のこと。72年に『成長の限界』という本に出会い、「21世紀は環境の時代になる」と確信し、長く使える家具を作ろう、自分達で木を植えていこう、と思いたったからだそうです。周辺8haの荒地を得て広葉樹の育林を含め、工芸村を立ち上げることから始めました。高山を拠点に、「100年かかって育った木は、100年使えるモノに」を理念に、再生可能な資源である樹木を使って、お椀から家具、木造住宅まで、伝統的な技術でモノづくりをすることで、縄文時代からあった日本の木の文化の再生に取り組んできました。


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オークヴィレッジ全景

 

 そして、2009年から販売を始めたのが、日本産アロマ「yuica」(ゆいか)です。アロマと聞くと、ラベンダーやミントなどをイメージしますし、多くのエッセンシャルオイルは輸入されています。が、日本の樹木からもエッセンシャルオイルを抽出することができるのです。「スギ」「ヒノキ」の香りを始め、珍しいところでは楊枝に使われる「クロモジ」があります。その香りはシャネルの香水にも使われているローズウッドに似た大変優美な良い香りです。

 

◆森も地域の人も元気に

「これは"枝葉ビジネス"。地域のお年寄の収入にもなっているんです。」と稲本さん。

エッセンシャルオイルを抽出する木の枝や葉を、地域の山を知り尽くしたお年寄りが山から取って来て、それによって収入を得るコミュニティビジネスでもあるのです。「yuica」という森の恵みで私たちの心身が癒され、森の手入れにもつながり、地域の人々や森の健康が回復されるのではないでしょうか。


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クロモジの枝葉とアロマオイル

 

 また、震災後にオークヴィレッジでは間伐材を使った復興住宅の提案や、避難所で「yuica」を使ったアロママッサージ、子供たちに積木を贈る活動など積極的に取り組んでこられました。無垢の木材は温かさが違います。積木は樹種の異なる木材から作られていて、色や木目が異なります。


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間伐材による復興住宅


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色々な種類の木でつくられた玩具

 

戦後に造林した木材は、現在伐期(ばっき)を迎えています。国産材を使うことは、健全な森づくりにつながります。命の源でもある森。

かつて寺山修司という詩人・劇作家が書いた『書を捨てよ、町へ出よう』という本のタイトルではありませんが、今年の夏は「暑を捨てて、森へ行こう」。涼を求めて、森を歩いてみませんか?

 ※ yuica http://www.yuica.com/

 

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今月のクローズアップ食材「冬瓜」

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 昨年ほどではないことを願いますが、この夏もやはり暑くなりそうですね。節電のため冷房の温度は高めに設定しなくてはならないし、みなさんも様々な暑さ対策を考えているのではないでしょうか。「食」で体の内側からクールダウンをするなら、うってつけの野菜があります! そう、冬瓜です! 

冬の瓜と書きますが、正真正銘の夏野菜!  6月から10月に出荷されますが、ピークは7月です。冬瓜の皮は丈夫できめが細かく水分を失いにくいため、まるごと冷暗所に保存すると、冬まで長期保存ができるという特徴からこの名前がつきました。「寒瓜」とも呼ばれているそうですよ。

冬瓜はかんぴょうの原料になるユウガオや、シロウリ、ニガウリと同じ仲間のウリ科の野菜。原産地はジャワとされていて、中国では古代より栽培されていました。日本には中国を経由して4世紀頃に入ってきました。

では、なぜ暑さ対策にうってつけかというと、冬瓜の水分は95%と非常に多く、そのため、むくみを取ったり、熱を下げる効果があるからです。しかもビタミンCが豊富で、美肌・美白効果があるだけでなく、身体の免疫力も高めてくれます。ミネラル、カリウムも含んでいるので、夏バテで疲れた身体も元気にしてくれそうですね。消化がよく、たくさん食べられるので満腹感も得られ、カロリーが低いためダイエット食にも適しています。 

ちなみに冬瓜の果実の中にある種は漢方薬にも利用されていて、利尿薬、消炎剤、緩下剤など広く利用されているそうです。種を煎じたものは、身体の水分代謝が原因で起こるめまいにも効果を発揮します。また生の絞り汁は発熱、食あたり、暑気あたり、糖尿病の喉の渇きに有効とされています。冬瓜は「薬」といってもいいほどなのですね。

選ぶ際は皮にシワがなく、持ってみて中身が詰まったずっしり重いものがおすすめです。カットされているものは果肉のみずみずしい新鮮なものを選びましょう。ただしカットされたものは冬まで持ちませんよ! できるだけ早く使ってくださいね。

冬瓜は調理すると透き通った翡翠色がなんともきれいです。この色を生かすために、煮物で使う際は、しょうゆは控えめにしたいですね。とても淡白な味なのでうまみのある食材と合わせて、出汁をしっかり吸わせるのがポイントです。


レシピ「冬瓜と豚肉のあっさり煮」

ビタミンCが豊富で熱を下げる冬瓜と、胃腸の消化・吸収能力を高めるビタミンB1が豊富な豚肉の、夏バテ対策最強コンビで作った煮物です。ちょっと食欲がない...と思ったときにもピッタリ。あっさり薄味の出汁は、くず粉で少しとろみをつけて口当たりを滑らかにしました。スプーンやレンゲで汁ごと味わってみてください。

 

[材料2人分]

冬瓜...  400g

豚角切り肉(カレー用・酢豚用など)...120g

くず粉...小さじ2

万能ネギ...適量

かつおだし汁...400ml

生姜の絞り汁...大さじ1

砂糖...小さじ1

しょうゆ...大さじ1

塩...少々

 

[作り方]

1. 冬瓜はワタ(種の部分)を取り、一口大に切って皮を薄くむく。

2. 鍋にかつおだし汁を入れて沸かし、冬瓜を入れて7から8分煮る。

3. 豚肉を加え、砂糖、しょうゆ、塩を加えてさらに5分煮る。

4. 大さじ1の水でくず粉を溶き、3に少しずつ加えながら混ぜてとろみをつけ

  る。

5. 生姜の絞り汁を加えてひと混ぜして、器に盛りつけ、小口切りにした万能

  ネギをちらす。


 

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この冬瓜、5kg近くありました!
食べきれない!という方は1から2kgのミニ冬瓜がオススメです


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種とワタはこの部分。柔らかいので簡単に取れます

 

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まずは冬瓜のみ煮て、出汁を吸わせましょう

 

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豚肉を足すとさらに出汁にコクが加わります

 

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くず粉で緩めのとろみをつけます。最後にしょうがを加えればあっさりした出汁にピリッとした辛みがプラスされます

 

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冬瓜の皮を薄めにむいたのは、この翡翠色を生かしたかったから。
時間がなければ厚めにむけば、早く火が通ります