鮭が嫌いという人に会ったことがありません。おにぎりの具やお茶漬け、チャンチャン焼きなど、様々な料理に活用できる鮭は、日本人の好きな魚のひとつですね。後で解説しますが、世界中に様々な鮭が存在しています。私たちが一般的に食しているのは白鮭(しろざけ)と呼ばれるもの。一年中出回っていますが、白鮭が産卵のために川に遡上する秋が旬です。ただし川の上流に上るほど味が落ちるため、川に上る前の9月上旬が最も脂が乗っておいしい時期といわれています。そこでちょっと早いとは思いますが、みなさんに旬を逃さないでいただくため、今回は鮭についてお届けします。
鮭はサケ目サケ科サケ属に分類される魚の総称です。鮭が日本で古くから食用とされていたことは、日本各地の貝塚から鮭の骨が発見されていることからわかります。また平安時代には、儀式に使う献上品として鮭が使われていたという記録が残っています。今もその名残で、地域によっては鮭を祭る祭祀が行われています。
生まれた川に戻るというのが鮭の大きな特徴で、18世紀に入ってこの生態がわかりました。これにより明治時代には鮭の人工孵化が実験的に行われ、その後、研究と改良が繰り返され、現在のように一年中安定的に出回るようになったのです。
では、鮭の種類をみてみましょう。先に書いたように日本で一般的に食される白鮭は、他の鮭に比べて淡いピンク色のためその名がつきました。秋に産卵のため川に近づいてきたものは秋味(あきあじ)、銀毛(ぎんけ)とも呼ばれます。一方、春から夏にかけて獲れる白鮭は時知らず、または時鮭(ときざけ)と呼ばれ、卵巣や精巣が成熟していないため、身に脂があり珍重されています。また「産卵する年齢に達していない若い鮭児(けいじ)も白鮭の種類。小型ですが脂が乗っていておいしいとされています。漁獲量の非常に少ない「幻の鮭」と呼ばれるほど貴重で、一般の白鮭の10倍以上もの価格で取引されます。
白鮭以外では、缶詰や燻製によく使われる銀鮭があります。天然物は北海道の北部でわずかに獲れるだけでほとんどが養殖で育てられています。また紅鮭は婚姻の時期になると真っ赤になるのが特徴で、塩鮭に適しています。アトランティックサーモンはキングサーモン、鱒之介(ますのすけ)とも呼ばれていて、サイズの大きな鮭です。最近では養殖がほとんどですが、身が厚く脂が乗っているのでステーキがおすすめです。
鮭の栄養面ではEPA(不飽和脂肪酸)が含まれていて、中性脂肪やコレステロールを下げる助けをしてくれます。またビタミンB6が豊富で、老化防止、胃腸を丈夫にしてくれます。
ちなみに鮭は「さけ」とも「しゃけ」とも言いますね。調べてみると本来は「さけ」だけれど「しゃけ」という呼び方が関西で発生し、全国に広まったという説と、関東で発生し全国に広まったという説の両方があります。また生のものは「さけ」だけれど、切り身や塩漬けなど加工されたものは「しゃけ」という説も。様々あり定かではありませんが、なかなか興味深いですね。
レシピ「鮭のソフトふりかけ」
最近ではたくさんのソフトふりかけが市販されていますが、成分のラベルを見ると必ずといっていいほど添加物が入っています。また、保存性を高めるためか塩分が強すぎると感じたことはありませんか。自家製なら、確かに日持ちはしませんが、塩分を控えられ、添加物もなし。2日くらいで食べきるのが目安。お弁当やおにぎりの具にもおすすめですよ。
[材料]
生鮭...1切
乾燥糸昆布...6g
しその葉...5枚
白煎りゴマ...大さじ2
酒...大さじ1
しょうゆ...小さじ1
塩...少々
[作り方]
1. 鮭は両面に塩をして酒をふりかけ、耐熱容器に入れてラップをして、電子レンジで2分加熱した後粗熱をとる。
2. 糸昆布は水で戻して粗みじん切りに、しその葉は縦に1/2に切ってから、細い千切りにする。
3. 粗熱がとれた鮭を皮と骨を除いて手でほぐす。
4. フライパンを弱めの中火で熱し、ヘラでほぐしながら鮭を炒める。
5. 水分がなくなりパラッとしてきたら、しその葉、昆布、しょうゆを加えてさらに炒める。
6. 白ゴマを加えて炒め合わせる。
本当は天然の白鮭か紅鮭で作りたかったのですが、撮影日はまだ時期が来ていなかったため手に入れることができず、銀鮭で作りました。みなさんはぜひ秋の天然物で作ってください
あらかじめ蒸しておくと、鮭のうまみが逃げずおいしく仕上がります
昆布としその葉、ゴマを使いましたが、ひじきや青海苔もおすすめです
水分量はお好みで。しっかり水分を飛ばしてパラパラにすれば保存性が高まります
鮭と昆布がうまみを出します。昆布は硬めに仕上げると食感もコリコリしておいしいです