みなさんも知っている「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざがあるとおり、ナスは秋の野菜の代表。この時期にとれるナスはおいしいので、お嫁さんには食べさせないという、イジワルな姑の言葉から生まれたことわざというのが一般的。でももうひとつ、ナスは身体を冷やす作用があるため、お産を控えたお嫁さんに食べさせると、身体によくないという思いやりのある言葉から生まれたという説があります。前者と後者では正反対といえるほど意味が異なるのが面白いですね。ナスにはこの他にも様々なことわざがあります。それほど日本人に親しまれてきた野菜ということなのでしょう。今回は趣向を変えて、そんなナスにまつわることわざを少し紹介しましょう。
「ウリのつるにナスビはならぬ」これはウリのつるにはウリしかならず、ナスを育てようとしても無駄、期待してはいけないということから、平凡な親から非凡な子は生まれない、血筋は争えないことのたとえです。「蛙の子は蛙」「鳶の子は鷹にならず」に似た意味ですね。
「親の意見とナスビの花は、千にひとつの無駄もない」これはナスは咲いた花が全部実になって無駄がないことから、親が子供のために与える意見もすべて無駄がないという意味。子を思って話す親の意見は聞くべきであるという教えです。お子さんに聞かせてあげてください。
また、ことわざではありませんが、「一富士、ニ鷹、三茄子」はみなさんご存知の縁起のよい初夢のこと。これには諸説あり、日本一の山「富士山」、賢くて強い鳥の「鷹」大願を「成す=ナス」という説、富士山と鷹狩り、初物のナスが徳川家康の好んだものであったという説、さらに富士山と愛鷹山(あしたかやま)、初物のナスの価格は駿河の国の"高い"ものであったなどがあります。ナスは江戸時代に温室栽培されるようになりましたが、初物のナスは価格が高く、当時の庶民にとって食べることは夢のようなことだったようです。
さて、ナスにも様々な種類があります。長ナスや、京野菜の賀茂ナスに代表される丸ナス、大きくて田楽にするとおいしい米ナスはみなさんもご存知かと思いますが、最近注目されているのが水ナス。手で絞ると水が滴るほど水分が多く、ナス独特のアクがほとんどないのが特徴です。私のおすすめは生をサラダで食すこと。さいの目切りにして、全体に塩を振って数分置き、出てきた水分を捨てて、他の野菜と一緒にドレッシングであえるだけ。ナス嫌いの人もこれなら食べられるかもしれませんよ!
ナスはそれほど栄養価の高い野菜ではありませんが、ビタミンB群、ビタミンC、カルシウム、鉄分、カリウムなどのミネラル、食物繊維などがバランスよく含まれています。注目したいのは皮の色素「アントシアニン」と「クロロゲン酸」などの抗酸化成分「ポリフェノール」で、動脈硬化の予防、ガンの発生・進行の抑制、老化を防ぐなどの働きがあります。
レシピ「ナスの煮びたし 食べるネギラー油がけ」
ナスそのものはほとんどが水分なので低カロリー。でも油との相性がよく、炒めものも素揚げにしてから使うととてもおいしい反面、やはり高カロリーになってしまうというのが心配。そこでナスを煮びたしにして、ラー油ベースのタレをかけてみました。油の量が抑えられているのに、コクがあっておいしい。人気の「食べるラー油」も市販のものを使わず、簡単に手作りするのが「地球健康クラブ」流! 全行程わずか10分程度で作れるスピードメニューです!
[材料]
ナス...2本
小ネギ...3本
ザーサイ...40g
にんにく...1片
生姜...1片
だし汁(かつおだし)...150ml
醤油...大さじ1
酒...大さじ1
砂糖...小さじ1/2
ごま油...大さじ2
白ごま...小さじ1
一味唐辛子...小さじ1
塩...少々
[作り方]
1. ナスは縞模様に皮をむき、横半分に切ってから縦に4等分し、水にさらしてアクを取る。にんにく、生姜、ザーサイはみじん切り、小ネギは小口切りにする。
2. 鍋にだし汁を入れて火にかけ、沸騰したらナス、醤油、酒、砂糖を入れて中火でナスが柔らかくなるまで5-6分煮る。
3. なすを煮ている間にネギラー油を作る。小鍋にごま油とにんにく、生姜を入れて弱火にかける。にんにくが色づいてきたら、一味唐辛子、小ネギ、ザーサイ、白ごまを加えて、混ぜながら約1分間火にかける。火を止めて塩少々で味付けする。
4. 皿にナスを盛り付け、3のネギラー油をかける。
色の濃い、皮にハリのあるものを選びましょう
ネギラー油の材料はみじん切りに。ザーサイは塩漬けのものなら塩出しをしてから使ってください
水にさらしてアク取りをすれば、仕上がりの色もきれいです
ネギラー油は余ったら冷蔵庫で2?3日持ちます。冷奴やゆで野菜にかけても美味
串を刺して、スッと通れば中まで火が通っています。煮すぎると食感が悪くなるのでご注意
温かくても冷めてもOK。アツアツごはんに乗せてもおいしいですよ