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第37回根のある暮らし まちなみ・むらなみを楽しむ秋

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紅葉が見頃の季節になってきました。そして、新米や栗、キノコなど秋の美味でついつい食べ過ぎが大敵ですね。私は10月上旬には岐阜県飛騨市で開かれた「全国町並みゼミ」に参加し、各地で地域づくりをされている皆様と、地元の美酒・美味を楽しみながら交流してきました。

今年34回を迎えた同ゼミは、全国各地で町並みの保存に取り組む人たちが一堂に会するもので、500人近い参加者がありました。

 

 

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白壁土蔵街を流れる瀬戸川

 

飛騨市は岐阜県北部に位置し、2004年に旧古川町、旧神岡町、旧河合村、旧宮川村が合併した、人口27000人余りの町です。古川は江戸時代に増島城の城下町としてつくられ、今でも商人町が残っています。奈良・平安時代から大工として都に仕事に行った歴史から、飛騨の匠の技として代々受け継がれてきました。40年ほど前から町並み保存や市内を流れる瀬戸川の浄化運動に取り組み、今でも匠の技が息づく昔ながらの町屋や寺社が、豊かで落ち着いた町並みをつくっています。2軒の造り酒屋や土蔵、「飛騨の匠文化館」など町の歴史が暮らしの営みと共に息づいています。

 

 

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それぞれの家屋に花が飾られて

 

◆棚田と板倉の里

市内から車で30分の宮川町には「種蔵」という小さな農村集落があります。ここには石積みの棚田と地区内に点在する板倉が美しい農村景観をつくりだしています。板倉というのは木造の倉庫で米や味噌、種を保管する場所です。高齢化により棚田の多くが畑に変わっていますが、ミョウガとエゴマの産地になっています。ミョウガの花を見たことはありましたが、群生しているところを見るのは初めてでした。実が大きく、多くが京都の漬物になっているそうです。地元の特産品としてブランド化すれば良いのに、もったいないですね。

 

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美しい農村景観


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群生するミョウガの花

 

その集落にある施設「板倉の宿 種蔵」が秀逸でした。これは平成21年に体験宿泊施設としてオープンしたものです。古民家を移築し、囲炉裏や漆喰の落ち着いた部屋、お風呂の浴槽は檜でした。食事はもちろん地域の食材を使った郷土料理をいただくことができます。朝食には山菜の煮物や、鮎の一夜干しが付きますが、幸せな一日の始まりでした。

 

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「板倉の宿 種蔵」


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ほう葉味噌でご飯がすすむ

 

今回の「町並みゼミ」では、飛騨市古川の大工さんの匠の技と、住民の高い美意識に支えられた"まちなみ"。そして種蔵の豊かな"むらなみ"に感心しました。これら、町と村の住民が交流することで相互の価値を再発見し、双方の景観が残っていくのではないでしょうか。いずれにしても大阪や東京など都市部の無秩序な景観に比べてなんと質が高く美しいことか、と改めて実感した3日間でした。

 景観・文化・暮らしの技に触れる町歩き、村歩きお勧めです。