今月は、香りのいい健康野菜の春菊です。その名は、若い菊を食べることや"春に花が咲く菊"ということでついたそうです。響きが美しくて、かわいらしい名前だと思います。独特の香りが特徴ですが、この香りが苦手な人も多いようです。日本と中国くらいでしか食べないというのも、この香りのせいかもしれません。また香りが強いことから、アクも強いイメージですが、アクの原因のシュウ酸という成分は、意外にもほうれん草のわずか4%。ですから生で食べることもできます。香りが苦手という人はぜひサラダでお試しあれ。香りがあまり気にならず、葉も柔らかいので食べやすいですよ。
「健康野菜」と書きましたが、春菊の効能はとてもたくさんあるのです。まず香りの成分は自律神経に働いて、胃腸の働きを活発にしてくれます。漢方でも食欲増進・健胃として使われているそうです。とかく食べ過ぎてしまいがちなお鍋に春菊を加えれば、胃もたれせずにすみそうですね。自律神経に働くということで精神安定の効果もあるそうです。葉を陰干ししてお風呂に入れれば、リラックスした気分になれ、身体も温まり血行がよくなるそうですよ。試してみたいですね。
皮膚や粘膜を保護して免疫力を高めてくれるβカロテン(ビタミンA)も豊富です。また食物繊維も多く、腸の働きもよくしてくれます。体の塩分調整に役立つカリウムは高血圧にも有効。さらに骨や歯をつくるカルシウムは、牛乳と同じくらい含まれています。その他、疲労回復に効果のあるビタミンB1、有害な活性酸素の分解や、脂肪の分解を助けるビタミンB2、美肌効果のあるビタミンC、貧血予防になる鉄分も含まれています。こんなに様々な栄養成分が含まれる野菜なのに、それほどお値段も高くないなんて...。食べないのはソンですね!
購入の際は茎が太過ぎず、緑色が濃く、葉が先までピンとはったみずみずしいものを選びましょう。特に葉先に注目し、黄色くなっているものは避けたほうがいいです。保存の際は、さっと全体を水で洗い、根元には水をしめらせたキッチンペーパーを巻いて、保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に茎を下にして立てて入れておきます。日にちがたつと葉が変色してくるので、早めに使い切るようにしましょう。調理でゆでる際には手早く茹でて、冷水にとって色止めします。この際もビタミンが流れ出てしまうため、すぐに引き上げてください。ゆでて保存する場合は水気をしっかり絞って、2-3日で使い切るようにしましょう。
レシピ「春菊のいり豆腐」
春菊といえば鍋料理が定番。その他、和え物やおひたしくらいしか出番がないというご家庭も少なくないのでは?前述のとおり、サラダもおすすめですが、今回は炒め物に活用してみました。春菊を買っても余ってしまう、バリエーションが少なくて飽きてしまうという方、ぜひお試しくださいね。
[材料約3-4人分]
春菊...1束
木綿豆腐...1丁
ちくわ...1-2本
こんにゃく...100g
卵...1個
ごま油...小さじ1
しょうゆ...小さじ1
酒...大さじ1
砂糖...小さじ2
塩...少々
[作り方]
1. 豆腐は上にバット(皿でも可)を乗せ、重しを上において水切りする。春菊はさっと下茹でして冷水にとり、すぐに引き上げて色止めし、水気を絞って2?くらいに切る。こんにゃくは沸騰した湯にくぐらせてアク抜きし、冷めたら短冊切りにする。ちくわは半月切りにする。
2. 鍋にごま油を入れて中火にかけ、こんにゃくを入れて水分がなくなるまで炒める。ちくわを加えて炒め合わせる。
3. 水切りした豆腐をちぎりながら加え、ヘラなどを使って豆腐をほぐすように炒め合わせる。
4. 春菊を加えて炒め、酒、砂糖、しょうゆを加えてさらに炒め合せ、味見をして塩で味を調整する。
これだけ食べればβカロテンもしっかり摂れますね
材料はこのように切っておきましょう。
豆腐はしっかり水切りすれば、水が出にくく炒めやすいです
手で千切って豆腐を加えていきましょう
春菊が入ったらサッと炒め合せるのがコツです
水分が飛んでいるのでお弁当のおかずにもピッタリです