栽培方法の多様化で、様々な野菜が季節を問わず食べられる時代にあって、生のタケノコは4?5月しか食べられない貴重なもの。この季節以外では、水煮などの加工品が出回りますが、生のタケノコは味わいや香りは別ものと思うくらい格段に違います。調理には少しの手間はかかりますが、ぜひ味わっていただきたいですね。
タケノコと一言で言ってもその種類は約70もあるそうです。一般的に私たちが食べているのは孟宗竹(もうそうちく)の若芽。大型で肉厚、皮には産毛のような柔らかい毛があり、他のタケノコに比べてえぐみが少なく、甘みと歯ごたえがあります。孟宗竹の名は、孟宗という昔の中国、呉の人物が、母が病気の際にタケノコを欲しがったため、雪の中を探した末に掘り当て、それを食べた母も元気になったという孝行話から由来しています。その他、タケノコの種類にはやや硬めであくが強く苦味がおいしさの真竹、長細くてきめが細かい根曲がり竹などがあります。
タケノコは食物繊維が豊富で低カロリー。ダイエットを気にする人に特におすすめの食材です。またビタミンB1・B2・C、カルシウムや鉄分も含まれています。
古くから「タケノコを掘り始めたら、湯を沸かしておけ」と言われたほど、タケノコは鮮度が命。購入したら、すぐに下茹での準備をしましょう。下茹でには米ぬかと赤唐辛子を使います。米ぬかに含まれるカルシウムが、タケノコのえぐみと結合して、えぐみが中和されるからです。米ぬかがない場合は、米のとぎ汁を利用しましょう。また赤唐辛子もえぐみを抑えてくれる作用があります。タケノコは皮を2-3枚はがし、穂先の部分を斜めに切り落として、皮の部分に縦に一本切れ目を入れます。硬いので、タケノコをしっかり手で押さえて、注意して行ってくださいね。大鍋にたっぷりの水、米ぬか1カップ、赤唐辛子2-3本を入れて強火にかけ、沸騰したら落し蓋をして、湯が吹き出ない火加減で約1時間ゆでます。火を止めたら、茹で汁の中に入れたまま冷まします。下茹でが完了したらすぐに調理をするのがおいしく食べるいちばんの方法ですが、すぐに食べられない場合は密閉容器に入れて、タケノコがかぶるくらいまで水を加えて冷蔵庫で保存します。一日に一度水を替えれば、一週間くらい保存が可能です。
下茹でが完了したタケノコ。さぁ、どんな料理で食べましょうか。存分に味わうには、部分によって調理方法を変えてみるのがおすすめです。穂先は汁物やタケノコの炊き込みご飯に、中央部分は煮物や炒め物に、根元の繊維の強い部分は薄切りにして炒め物や揚げ物に向いています。大きなタケノコが手に入ったら、様々な味わいで旬の味覚を存分に楽しんでくださいね。
レシピ「焼きタケノコの生のりソース」
茹で立てのタケノコはシンプルに焼いて食べるのが一番おいしい。でも焼いたけ...では手抜きのレシピになってしまう。うーん...と考えた末、こちらも旬の生海苔をソースにして焼きタケノコと一緒に食してみたら、うまみの相乗効果でなかなかの美味。素材の味を生かすため、味付けはとてもシンプルです。
[材料2-3人分]
タケノコ...穂先から中央部分
生海苔...50g
オリーブオイル...大さじ1
バター...10g
白ワイン...小さじ1
塩...適量
[作り方]
1. タケノコは下茹でして皮をむき(本文参照)、根元の部分は切り落とし、縦に6-8等分に切る。生海苔は洗って水切りをした後、粗く刻んでおく。
2. フライパンにオリーブオイルを熱し、切ったタケノコを入れて強火で転がしながら約5分、全体に焼き色がつくように焼く。塩少々をふり、薄く味をつける。
3. タケノコを取り出したフライパンに刻んだ生海苔を加え、中火で炒める。白ワイン、塩を加えて炒め合せた後、バターを加えて手早く混ぜて火を止める。
4. 器に3の生海苔ソースを敷き、タケノコを盛り付ける。
ずっしりと重くて、胴の部分が太いのものがおいしいタケノコといわれています.
下茹での前に、穂先を斜めに切り、縦に一本切れ目を入れましょう。
緑がきれいな生海苔。手に入らない場合は焼き海苔で代用してもいいですよ。