【API設計の裏側】BFF(Backend For Frontend)とは?API Gatewayとの違い・仕組み・使いどころをわかりやすく解説

● BFFというIT用語を聞いたが意味が分からない
● API Gatewayとの違いがあいまいなまま設計に参加している
● マイクロサービス構成でAPI設計が複雑になって困っている

API設計の現場では、BFFという言葉が頻繁に使われています。
しかし役割や使いどころを正しく理解しないまま構成に組み込むと、システムが複雑化し、保守コストが増加します。

筆者はWebシステム設計とAPI構成設計に10年以上関わり、多数のBFF導入案件と非導入案件を比較してきました。
BFFを正しく使える設計者と使えない設計者では、構成品質と開発効率に明確な差が生まれます。

本記事では、BFFの意味、仕組み、API Gatewayとの違い、使いどころまで体系的に整理して解説します。

記事を読むことで、BFFを導入すべきか判断できる設計視点が身につきます。
API設計で迷いたくない人は最後まで読み進めてください。


目次

BFF(Backend For Frontend)とは?API設計での役割を一言で解説

BFFとは、画面専用のデータまとめ役です。
正式な名前はBackend For Frontendで、「フロント画面のための裏側システム」という意味になります。

Webサイトやアプリは、画面に表示するためにたくさんのデータを使います。
商品情報、ユーザー情報、注文情報など、別々の場所にデータが保存されています。

BFFがない場合、画面はそれぞれの場所に直接データを取りに行く必要があります。
その結果、通信が増えて動作が遅くなり、プログラムも複雑になります。

BFFを使うと、画面はBFFだけにデータを取りに行けばよくなります
BFFが裏側で必要な情報を集めて、見やすい形にまとめて返します。

BFFの役割は次の2つです。

  • 通信回数を減らして画面表示を速くする

  • 画面用の処理とデータ管理の処理を分けて管理しやすくする

BFFを使うことで、アプリは速くなり、作る人も直しやすくなります。
そのため、BFFは多くのWebサービスで使われています

BFFの正式名称と意味

Backend For Frontendは直訳すると「フロントエンド専用のバックエンド」を意味します。
共通APIを全画面で使い回す設計とは異なり、画面単位でAPIを最適化します。

Web画面、スマホアプリ、管理画面など複数フロントが存在する場合、要求仕様は大きく異なります。
BFFはフロントごとの要件を吸収する役割を持ちます。

API設計における配置レイヤー

BFFはフロントエンドと業務バックエンドAPIの中間層に配置されます。

構成イメージは以下の流れになります。

フロントエンド

BFF

業務API(マイクロサービス群)

BFFはUI専用APIとして動作します。
業務ロジックは持たず、データ整形やAPI統合処理を担当します。

フロント最適化が役割になる理由

画面表示では複数APIの情報をまとめて取得するケースが多発します。
フロントエンドから複数APIを直接呼び出すと通信回数が増えます。

通信回数増加はパフォーマンス低下と実装複雑化を引き起こします。
BFFを導入すると、フロントエンドは1回の通信で必要データを取得できます。


なぜBFFが必要なのか?導入される3つの理由

BFFが採用される理由は主に3つあります。
フロント仕様差分、マイクロサービス拡大、開発体制分離です。

フロントごとにAPI要件が異なる問題

Web画面とスマホアプリでは必要データ構造が異なります。
レスポンス項目や取得件数の要件も変わります。

共通API設計では全画面要件を満たすためにAPIが肥大化します。
BFFを導入するとフロント別に最適化されたAPI設計が可能になります。

マイクロサービス構成による通信増加

マイクロサービス構成ではAPIが細分化されます。
フロントエンドが直接複数APIへアクセスすると通信管理が困難になります。

BFFがAPI統合ポイントとなることで、フロント側の通信処理が単純化されます。
パフォーマンス制御もBFF側で集約できます。

フロントとバックエンド開発の分業最適化

フロントエンド開発チームとバックエンド開発チームが独立すると、API調整コストが増大します。

BFFを境界として設計責任を分離すると、チーム間の依存関係を弱められます。
開発スピードが安定しやすくなります。


BFFの基本構成と仕組み

BFF構成には基本パターンがあります。
単一BFF構成とフロント別BFF構成の2種類が代表的です。

BFFなし構成の通信フロー

BFFを導入しない構成では、フロントエンドが複数APIへ直接接続します。

フロント → 商品API
フロント → 会員API
フロント → 注文API

通信管理が複雑になり、フロント側の実装負担が増加します。

BFFあり構成の通信フロー

BFF構成ではフロントエンドの接続先が一本化されます。

フロント → BFF → 複数業務API

通信回数が減少し、フロント側ロジックが簡潔になります。

フロント別BFF構成

複数フロントが存在する場合、BFFを分離する設計が主流です。

Web用BFF
Mobile用BFF
管理画面用BFF

画面仕様変更の影響範囲を限定できます。
設計変更によるリスクを抑えやすくなります。


API Gatewayとの違いを比較で整理

BFFとAPI Gatewayは混同されやすい設計要素です。
役割と目的は明確に異なります。

以下の比較表で整理します。

項目 BFF(Backend For Frontend) API Gateway
主な役割 フロント専用API最適化 API入口統合管理
対象範囲 フロント単位 全サービス共通
処理内容 データ整形・集約 ルーティング・認証・制御
利用目的 UI最適化 セキュリティ・トラフィック制御
設計視点 フロント視点 インフラ視点

役割の違い

BFFはフロント要件を満たすためのAPI設計層です。
API Gatewayは通信制御とセキュリティ管理を目的とします。

設計思想が異なります。
BFFは画面最適化、API Gatewayは全体統制を担当します。

処理範囲の違い

BFFはレスポンス加工とAPI統合を実行します。
API Gatewayはルーティング制御と認証処理が中心です。

ビジネスデータ加工はBFFの役割になります。

併用構成が多い理由

実務ではBFFとAPI Gatewayを併用する構成が多く採用されています。

構成イメージは次の流れになります。

フロント

API Gateway

BFF

業務API

API Gatewayが通信制御を担当し、BFFが画面最適化を担当します。
役割分担によって設計が安定します。


BFFを導入するメリット

BFF導入には明確な利点があります。
開発効率、保守性、パフォーマンス改善が中心効果になります。

フロントエンド実装が単純化される

フロントエンドは単一APIに接続する構成になります。
複数API通信処理が不要になります。

画面実装がシンプルになります。
バグ発生率も低下します。

API変更の影響を吸収できる

業務API仕様が変更された場合でも、BFF側で調整できます。
フロントエンド修正範囲を限定できます。

長期運用において保守コスト削減効果が大きくなります。

開発チーム分業が容易になる

フロントチームはUI設計に集中できます。
バックエンドチームは業務API設計に集中できます。

BFFが境界となるため、チーム間調整工数が減少します。


BFFのデメリットと注意点

BFFは万能ではありません。
設計を誤ると逆効果になります。

システム構成が複雑化する

BFF導入によってAPI層が1段増加します。
構成管理コストが増えます。

小規模サービスでは過剰設計になる場合があります。

運用コストが増加する

BFFもサーバーとして運用対象になります。
監視設定、障害対応、ログ管理が必要になります。

運用体制を考慮せず導入すると負担が増加します。

責務設計を誤ると肥大化する

BFFに業務ロジックを持たせる設計は推奨されません。
BFFはデータ整形とAPI統合に限定する必要があります。

責務分離が崩れると保守難易度が急上昇します。


BFFが向いているシステム構成

BFF導入が効果的なケースには共通点があります。

マルチデバイス対応サービス

Webとスマホアプリを同時運用する場合、BFF効果が高くなります。
画面要件差分を吸収しやすくなります。

マイクロサービス構成

API数が増加する構成ではBFFが通信集約点になります。
フロント通信設計が安定します。

中規模以上のWebサービス

ユーザー数と画面数が増えると、API最適化効果が拡大します。
長期保守を前提とした設計に向いています。


BFFが不要なケース

すべての案件にBFFは不要です。
不要なケースも把握する必要があります。

小規模サービス

画面数が少ない場合、直接API接続の方が効率的です。
構成を単純に保つ方がメリットになります。

単一フロント構成

Web画面のみ構成ではBFF効果が限定的になります。
API最適化メリットが小さくなります。

API仕様が安定している場合

業務APIが長期間変更されない構成ではBFFの価値が低下します。
直接接続設計が適する場合もあります。


BFFの実装でよく使われる技術スタック

BFFは軽量APIサーバーとして実装されます。
処理性能と開発効率のバランスが重要になります。

Node.js系構成

Node.jsはBFF実装で最も利用される技術です。
非同期処理に強くAPI統合処理に適しています。

ExpressやNestJSがよく使われます。
短期間での開発が可能になります。

Java系構成

Spring BootによるBFF構築も多く採用されています。
大規模システムとの親和性が高く、既存資産を活用できます。

安定性を重視する企業システムで選ばれやすい構成です。

認証・セキュリティ設計

BFFは認証トークンを受け取る窓口になります。
OAuth2やJWTを利用する設計が一般的です。

BFFで認証検証を実施し、内部APIへ認証情報を中継します。
権限管理を集約できる点が利点になります。


よくある質問(FAQ)

BFFとBackendは同じ意味ですか?

BFFは通常のBackendとは異なります。
BFFはフロント専用API層として設計されます。

業務ロジックは業務バックエンドで処理します。
BFFはUI最適化処理のみを担当します。

BFFは必ずAPI Gatewayと併用する必要がありますか?

必須ではありません。
小規模構成ではBFF単体運用も可能です。

大規模サービスではAPI Gateway併用が一般的です。
セキュリティ管理と通信制御が安定します。

小規模開発でもBFFは必要ですか?

小規模案件では不要なケースが多くなります。
直接API接続構成が適する場合も多く存在します。

将来の拡張計画がある場合は導入検討価値があります。


まとめ:BFFはAPI設計の柔軟性を高める戦略パターン

BFFはフロントエンド専用APIを提供する設計パターンです。
画面仕様最適化と通信集約を目的として導入されます。

API Gatewayとは役割が異なります。
BFFはUI視点、API Gatewayはインフラ視点で設計されます。

マルチデバイス構成やマイクロサービス環境では効果が高くなります。
小規模サービスでは過剰設計になる可能性も存在します。

API設計を行う場合は、構成規模と開発体制を基準にBFF導入判断を行ってください。
設計初期段階での判断が、運用負荷と開発効率を大きく左右します。

API設計の全体像をさらに深く理解したい場合は、API Gateway設計パターン解説記事マイクロサービス設計ガイドも併せて確認してください。