「Slackがメインだけど、取引先とはなぜかLINE」「Teamsで会議、雑談はSlack」——職場でチャットツールが複数並走しているのは、今や珍しい話ではありません。
しかし、実際にビジネスパーソンはチャットツールをどう使い分けているのでしょうか。そして、複数ツールに振り回されて困っていることはないのでしょうか。
そこで今回しろくま総研では、社会人100人を対象に「職場でのチャットツール利用実態」に関するアンケート調査を実施しました。SlackとTeamsとLINE、そしてその他のツールを含めたリアルな使い分けの実態をお届けします。
調査サマリー
- 職場でメインに使われているチャットツールは「Microsoft Teams」が最多で、次いでSlack、LINE/LINE WORKSが続く
- 複数のチャットツールを使い分けている人は全体の約7割に達する
- 取引先・社外とのやり取りではメールに次いでLINEが多用されており、ビジネスチャットの社外利用は限定的
- チャットツールへの最大の不満は「通知が多すぎる」で、次いで「ツールが多くて情報が分散する」が続く
調査概要
本調査は、職場でチャットツールを使用している社会人を対象に、利用実態と課題を明らかにすることを目的として実施しました。
| 調査目的 | 職場でのチャットツール利用実態に関するアンケート |
|---|---|
| 調査方法 | インターネットリサーチ |
| 調査対象者数 | 100人(男性52人 / 女性48人) |
| 調査対象年齢層 | 20代:21人 / 30代:34人 / 40代:28人 / 50代以上:17人 |
| 調査対象 | 職場でチャットツールを使用している社会人 |
| 調査期間 | 2026年5月 |
| 調査対象地域 | 日本 |
※本調査結果を引用される際は、引用元として「しろくま総研(469ma.jp)」の記載と、本記事へのリンクをお願いいたします。
Q1. 職場で最もよく使っているチャットツールは?
まず、職場で最もよく使っているチャットツールを1つ選んでもらいました。
| 項目 | 回答者数 |
|---|---|
| Microsoft Teams | 38人 |
| Slack | 26人 |
| LINE / LINE WORKS | 22人 |
| Chatwork | 8人 |
| Google Chat | 4人 |
| その他 | 2人 |
最も多かったのは「Microsoft Teams」で38人。Microsoft 365を導入している企業が多く、Office製品との連携のしやすさが選ばれる理由と考えられます。
次に多かったのが「Slack」で26人。IT・スタートアップ系の企業を中心に根強い支持があり、外部サービスとの連携(API・bot)の豊富さも特徴です。
注目すべきは「LINE / LINE WORKS」が22人と、ビジネス専用ツールに迫る数を集めている点です。中小企業や対外コミュニケーションの多い職種では、依然としてLINEがビジネスの現場に深く入り込んでいることがわかります。
Q2. 複数のチャットツールを使い分けていますか?
続いて、職場で複数のチャットツールを並行して使っているかを聞きました。
| 項目 | 回答者数 |
|---|---|
| 3つ以上使い分けている | 24人 |
| 2つ使い分けている | 45人 |
| 1つだけ使っている | 31人 |
「2つ以上のツールを使い分けている」と回答した人は69人と、全体の約7割にのぼりました。1つのツールだけで完結している人は3割程度にとどまっています。
現代の職場では、もはや「うちのチャットツールは○○です」と一言で言えない状況が当たり前になっているといえそうです。
使い分けのパターン
使い分けている人に、どのような基準で使い分けているかを自由回答で聞いたところ、以下のような傾向が見られました。
| 使い分けの基準 | 具体例 |
|---|---|
| 相手で使い分け | 社内はTeams、社外(取引先)はLINEやメール |
| 用途で使い分け | 業務連絡はSlack、雑談やランチの呼びかけはLINE |
| 部署・プロジェクトで使い分け | 本社はTeams、現場部署はLINE WORKS |
| 緊急度で使い分け | 緊急時は電話やLINE、通常はビジネスチャット |
「相手」と「用途」で使い分けているケースが特に多く、ツール側の優劣ではなくコミュニケーションの相手と内容に合わせて選んでいる実態が浮かび上がりました。
Q3. 取引先・社外とのやり取りで主に使うツールは?
社外とのコミュニケーションでは、社内と異なる傾向が見られました。
| 項目 | 回答者数 |
|---|---|
| メール | 54人 |
| LINE | 21人 |
| 電話 | 11人 |
| Slack / Teams(ゲスト招待) | 9人 |
| Chatwork | 5人 |
社外とのやり取りでは「メール」が54人と過半数を占め、依然としてビジネスの公式チャネルはメールであることが確認できました。
一方で、「LINE」が21人と、ビジネスチャットツール(Slack / Teams)の9人を大きく上回っています。「取引先のLINEを聞いて、グループを作って進行する」というスタイルが、特に小規模事業者や個人事業主との取引では一般化しているようです。
ビジネスチャットツールは社内で広く使われているにもかかわらず、社外との接点ではメールとLINEが主流という、いわば「社外との壁」が存在することがわかります。
Q4. 仕事でLINEを使うことについてどう思う?
LINEのビジネス利用は便利な一方で、賛否が分かれるテーマでもあります。実際にどう感じているかを聞きました。
| 項目 | 回答者数 |
|---|---|
| 便利なので積極的に使いたい | 23人 |
| 仕方なく使っている | 41人 |
| できれば使いたくない | 28人 |
| 仕事ではまったく使っていない | 8人 |
「便利なので積極的に使いたい」は23人にとどまり、「仕方なく使っている」「できれば使いたくない」を合わせると69人と、ネガティブな意見が多数派でした。
自由回答では「プライベートと仕事の境目がなくなる」「履歴管理がしづらい」「相手が個人アカウントだとセキュリティが不安」といった声が目立ちました。
LINE WORKSなどビジネス向けに切り出されたサービスもありますが、現場では個人LINEを使わざるを得ない状況も多く、「便利だけど抵抗感がある」というアンビバレントな関係性が見えてきました。
Q5. チャットツールで困っていること・不満は?
複数のチャットツールを併用する中で、どのような不満を抱えているのでしょうか。
| 項目 | 回答者数 |
|---|---|
| 通知が多すぎる | 37人 |
| ツールが多くて情報が分散する | 29人 |
| 過去のやり取りを探しにくい | 14人 |
| 業務時間外の連絡が来る | 12人 |
| 特に不満はない | 8人 |
最も多かった不満は「通知が多すぎる」で37人。チャネル数の増加と複数ツールの並行使用により、通知が一日中鳴り続ける環境にストレスを感じている人が多いことがわかります。
次に多かった「ツールが多くて情報が分散する」(29人)も深刻です。「あの話、Slackだったっけ?Teamsだったっけ?」という状況は、検索性の悪化と意思決定の遅延を招きます。
「業務時間外の連絡が来る」が12人いる点も見逃せません。チャットは手軽さゆえに、勤務時間という境界線をあいまいにしやすい側面があるといえます。
Q6. 理想のチャットツール環境は?
最後に、理想のチャットツール環境について聞きました(複数回答可)。
| 項目 | 回答者数 |
|---|---|
| 社内も社外も同じツールで完結したい | 51人 |
| 通知を細かくコントロールできる仕組みがほしい | 43人 |
| 過去のやり取りをAIで検索できると嬉しい | 38人 |
| 業務時間外は自動で通知を止めたい | 34人 |
| 個人LINEと仕事を完全に分けたい | 29人 |
最も多かったのが「社内も社外も同じツールで完結したい」(51人)。Q3で見られた「社外との壁」を一本化したいというニーズが明確に表れています。
また、「過去のやり取りをAIで検索できると嬉しい」(38人)という回答からは、生成AI時代のチャットツールへの期待も読み取れます。SlackやTeamsはすでにAI検索機能の実装を進めており、今後はこの領域での差別化が進むと考えられます。
主要チャットツール3つの特徴を比較
調査結果でも上位を占めた「Microsoft Teams」「Slack」「LINE / LINE WORKS」の3ツールについて、特徴を整理しました。自社の状況と照らし合わせる際の参考にしてください。
| 項目 | Microsoft Teams | Slack | LINE WORKS |
|---|---|---|---|
| 得意な領域 | 大企業・Office連携 | IT・スタートアップ・外部連携 | 中小企業・現場業務 |
| 無料プラン | あり(機能制限) | あり(履歴制限) | あり(30人まで) |
| 外部ツール連携 | Microsoft 365中心 | 非常に豊富(2000以上) | 限定的 |
| ビデオ会議 | 標準搭載(強力) | 標準搭載(シンプル) | 標準搭載 |
| 社外連絡 | ゲスト招待で対応 | Slack Connectで対応 | LINEユーザーと連絡可 |
| 導入しやすさ | Microsoft 365契約済なら容易 | 単独契約しやすい | LINEに慣れていれば容易 |
選び方のポイントは、すでに使っているシステムとの相性です。Microsoft 365を導入済みならTeams、外部サービスを多用するならSlack、社外との接点が多くLINEに馴染みのある相手が多いならLINE WORKS、というのが基本的な判断軸になります。
業種・規模別に見るチャットツールの傾向
調査回答者の属性をもう少し詳しく見ると、業種や企業規模によってチャットツールの選好に差が見られました。
大企業(従業員1000人以上)
大企業ではMicrosoft Teamsが圧倒的多数を占めました。情報システム部門による全社一括導入が背景にあり、Microsoft 365との統合管理のしやすさが選ばれる理由です。Slackを併用しているケースもありますが、特定部署(開発・マーケティング等)に限られる傾向があります。
中堅企業(従業員100〜999人)
中堅企業ではTeamsとSlackがほぼ拮抗。業種による差が大きく、製造業や金融系はTeams、IT・Web系はSlackが優勢でした。Chatworkの利用もこの規模で目立ちます。
中小企業・個人事業主
従業員50人未満の中小企業や個人事業主ではLINE / LINE WORKSの利用率が高く、次いでChatwork、Slackという順でした。導入の手軽さとコスト面から、ライト感覚で使えるツールが選ばれています。
チャットツールの使い分けで失敗しないための5つのコツ
調査で浮かび上がった「通知過多」「情報分散」といった課題を踏まえ、複数ツール環境で疲弊しないための実践的なコツを5つ紹介します。
コツ1:ツールごとに役割を明確に決める
「業務連絡はTeams、軽い相談はSlack、外部とのやり取りはメール」といった具合に、ツールごとに用途を決めて社内で共有しましょう。同じ話題が複数ツールで並走すると、後から探すときに大きな負担になります。
コツ2:通知設定を細かくカスタマイズする
多くのチャットツールには、チャンネル単位・キーワード単位で通知を制御する機能があります。すべての通知をオンにしたままにせず、本当に必要な通知だけを残す設定に見直しましょう。とくに業務時間外の通知をミュートにする「サイレント時間」の設定は効果的です。
コツ3:チャンネル数を増やしすぎない
「とりあえずチャンネルを作る」が積み重なると、誰も見ていないチャンネルが乱立し、情報が埋もれていきます。定期的に棚卸しを行い、不要なチャンネルはアーカイブする運用ルールを設けましょう。
コツ4:個人LINEは仕事に持ち込まない
調査でも「個人LINEと仕事を完全に分けたい」という声が29人いました。プライベートとの境界を守るために、業務利用はLINE WORKSなどビジネス向けサービスに切り替えるか、業務用のサブアカウントを作ることをおすすめします。
コツ5:重要な決定事項は別途記録に残す
チャットは流れが早く、重要な意思決定もタイムラインに埋もれがちです。決定事項や合意内容は、議事録・社内Wiki・タスク管理ツールなど、検索性の高い場所に別途記録する習慣をつけましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. SlackとTeams、どちらを導入すべき?
すでにMicrosoft 365を利用している、または利用予定があるならTeamsがおすすめです。追加コストなしで導入でき、WordやExcelとの連携もスムーズです。一方、多様な外部サービスとの連携を重視するならSlackが向いています。特にエンジニアやマーケターが多い組織では、Slackの方がワークフロー構築の自由度が高く生産性に直結します。
Q2. 仕事で個人LINEを使うのは違法ですか?
個人LINEを業務利用すること自体が直ちに違法になるわけではありません。ただし、会社の機密情報や個人情報を個人LINEでやり取りすると、社内規程違反や個人情報保護法上の問題が生じる可能性があります。可能な限りLINE WORKSなどビジネス向けサービスを利用するのが安全です。
Q3. 取引先がLINEを希望してきたらどうすべき?
会社のルールを確認した上で対応するのが第一です。会社として個人LINEの業務利用を禁止している場合は、その旨を伝えて他の手段(メール、ビジネスチャット等)を提案します。やむを得ず使用する場合は、業務専用のアカウントを作成し、機密情報の送受信は避けるなど運用ルールを明確にしましょう。
Q4. チャットツールはいくつまでなら併用しても問題ない?
明確な上限はありませんが、調査結果からは3つを超えると不満が急増する傾向が見られました。理想は2つまでに収め、それぞれの役割を明確に分けることです。やむを得ず3つ以上使う場合は、通知の一元管理ツール(FleepやFranzなど)の導入も検討してみてください。
Q5. 通知疲れを解消するにはどうしたらいい?
まず「すべての通知をオンにしない」ことから始めましょう。本当に即時対応が必要なチャンネル以外はバッジ表示のみにし、メンションされたときだけ通知が来るように設定するのが基本です。また、業務時間外は通知を完全に止める「集中モード」「サイレント時間」の活用も効果的です。
調査結果から見えた3つのポイント
今回の100人アンケート調査から、職場のチャットツール利用について以下の3つのポイントが見えてきました。
ポイント1:社内はビジネスチャット、社外はメール・LINEの「二層構造」
社内ではTeamsやSlackといったビジネスチャットツールが主流である一方、社外との接点ではメールとLINEが依然として主役です。この「二層構造」は、ツール選びの大きな課題として残り続けています。
ポイント2:7割が複数ツールを併用、しかし通知と情報分散に疲弊
2つ以上のツールを使い分けている人が7割に達する一方、通知の多さと情報の分散に対する不満が顕著です。ツール選定の段階で「いかに情報を一元化するか」が重要な視点となります。
ポイント3:LINEは「便利だが抵抗感」、ビジネス利用の課題は根深い
仕事でLINEを使うことに対して、約7割がネガティブな感情を抱いています。プライベートとの境界、セキュリティ、履歴管理などの課題は、LINE WORKSなどの代替手段が広がる中でも完全には解消されていません。
まとめ
今回の調査では、職場のチャットツールが「Teams・Slack・LINE」を中心に多様化し、約7割の人が複数ツールを使い分けている実態が明らかになりました。
一方で、通知の多さや情報の分散、社外とのコミュニケーションの分断といった課題も浮き彫りになっています。ツールが増えるほどコミュニケーションが効率化されるとは限らず、むしろ「どう減らすか」「どう統合するか」が次のテーマになりつつあるといえそうです。
これからチャットツールを選定・見直しする際には、機能の豊富さだけでなく、「社外との接続性」「通知の制御性」「検索性」といった観点で比較検討することをおすすめします。
※本調査結果を引用される際は、引用元として「しろくま総研(469ma.jp)」の記載と、本記事へのリンクをお願いいたします。
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